中国、原子力安全等の5か年計画承認 新設計画の審査 再開へ

中国の内閣に相当する国務院は5月31日に温家宝首相を議長とする常務会議を開催し、「原子力の安全性と放射能汚染防護に関する第12次5か年計画、および2020年までの長期目標」を原則的に承認した。福島事故直後の昨年3月16日の常務会議で実施決定した国内の原子力発電所の安全審査結果を受けたもの。その中で国内原子炉が中国および国際原子力機関(IAEA)の安全基準を満たしていることが保証されたとしており、暫定的に停止していた新規計画および建設前準備工事の審査・承認を再開する条件が概ね整ったことになる。

9か月以上に及んだ包括的な安全審査は、稼働中と建設中の民生用原子炉41基、計画中の3基のほか、研究炉および核燃料サイクル関連施設を対象に行われた。原子力安全、地震や津波等の専門家がこれら外部事象に対する耐性等を中心に検証。今年2月には国務院が提案段階の状況報告書を審査し、さらなる審査と改善措置実行のための調整が行われていた。

全体的な結論としては、国内原発が「中国の安全基準とIAEAの安全基準を全面的に採用しており、国際的にも最新の安全規制・要件を満たしている」と明言。外部事象に対する耐性が十分実証されるとともに、発電所の設計、製造、建設、起動、運転にいたるまで、その品質は効果的に管理されていると断言した。また、過酷事故の発生防止と影響緩和についても、十分なリスク管理が行われるなど安全性が保証されているとしている。

一方、露呈した問題点としては「一部の原発が最新の洪水要件を、また一部の研究炉とサイクル施設が最新の耐震性能を満たしていなかった」と指摘。過酷事故の発生防止と影響緩和についても、一部の原発で対策が不十分だったが、関連部門と企業が組織立って迅速な対応を取り、現段階で初期成果を得たとしている。

今回、原則的に承認された「原子力の安全性と放射能汚染防護に関する第12次5か年計画、および2020年までの長期目標」は「安全第一、品質第一」を基本原則としている。多重防護や新旧の対策を統合した管理、科学技術に裏付けられた防護対策など、改善を継続することや法規の遵守、厳しい監督管理と透明性の維持などを明記。全体的な目標として、機器の安全性向上を一層進めるとともに放射線の環境に対するリスクを大幅に低減すること、緊急時対応策などにより公衆の健康と環境の安全性を国際水準で維持することを挙げている。


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