関電・大飯3、4号機が運転再開へ 福井県知事了解受け、政府が最終決断 7月上旬から発電開始 昨年福島事故後、初めて

野田佳彦首相は16日、官邸内で原子力発電所に関する4大臣会合を開き、関西電力・大飯発電所3、4号機(PWR、各118万kW)を再起動することを、政府の最終判断として決定した。これを受け、関西電力では、大飯3号機の7月上旬からの発電開始を目指し、再稼働に向けた作業・点検等を開始することとしている。福島事故から1年3か月を経て、定期検査中プラントの戦列復帰に向けた具体的工程がいよいよ動き出すこととなる。

野田首相ら関係閣僚は16日、4大臣会合に先立ち、大飯発電所を立地する福井県の西川一誠知事と会談を行い、同3、4号機の再起動を県として同意する旨の発言を受けた。西川知事は、国民の理解が重要として野田首相自らが国民に訴えかけることを求め、野田首相は8日の記者会見で、原子力発電の重要性を指摘し「再起動すべき」との結論を発表している。

県知事同意を受けて行われた16日の4大臣会合で、野田首相は、再起動の最終判断に際し、「40年以上にわたり原子力発電と向き合い、電力消費地に電力の供給を続けてきた」として、立地自治体への謝意を述べるとともに、原子力行政、安全規制への信頼回復に取り組んでいく決意を示した。

大飯3、4号機とも現在、定期検査中にあるが、関西電力では今後、まず3号機について、再稼働に向けた準備、諸検査を実施し、7月上旬に原子炉を起動、発電を開始、数日後に定格熱出力一定運転に移行させることとしており、4号機についても、7月中旬〜下旬に原子炉を起動、発電を開始する予定だ。

福島事故後、初のケースとなり、安全規制の新組織設置が遅れている状況下、原子力安全・保安院では、緊急対応に万全を期す観点から、大飯オフサイトセンターに、経済産業副大臣を責任者とする総勢20名程度の「常時監視・緊急対応体制」を編成・設置し、テレビ会議システムを接続しつつ、再起動対応を常時監視し、国民への情報提供を図ることとしている。また、関西電力では、メーカーからも支援を受け、発電所サポート体制を強化し、国による特別な監視体制に対応するとともに、関係自治体との連絡体制を強化する。

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西川福井県知事は16日、首相との会談後、県庁内で記者会見し大飯発電所再稼働に当たっての経緯、要望などを述べた。

【会見の要旨】 6月8日の野田首相発言を受け、福井県としては、11日に県原子力安全専門委員会から、必要な対策は確保できているとの報告を受け、また、12日には、自身が大飯発電所において、関西電力の安全対策の実施状況を確認した。また、一昨日には県民の代表である福井県議会において、再稼働について各会派の考え方が示され、そして、おおい町長からは再稼働を容認するとの意見を受けた。

昨日は、関西電力の社長に対し、安全、安定運転について、電力事業者として、しっかりとした安全を含む対策ができているか、また、経営のトップとしての決意はどうなのか、と聞いたところだ。

関電社長には、2年から4年程度かかる防潮堤のかさ上げ、免震構造の事務棟の建設、あるいは、フィルター付ベント設備の設置などを、さらに急ぐよう要請し、最大限工事を急ぐことを約束してもらった。


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