仮の町に約半数が賛成 双葉町 町民の絆の維持が課題

東京電力・福島第一原子力発電所事故で全域避難している福島県双葉町(井戸川克隆長)は、「復興への道」(案)を1月に作成し、中学生以上の全町民約6400人を対象に約2900世帯宛に回答用紙を送付して行ったパブリックコメント(アンケート方式)の集計結果をホームページ上に掲載した。約1100人から回答があり、回収率は約17%。

回答者は、男性46%、女性51%、あとは無回答。

現在の避難場所の都道府県別では、福島県55.5%、埼玉県21.1%、東京都4.0%などの順となっている。また、避難市町村別では1)いわき市15.7%2)加須市(臨時町役場がある)13.4%3)郡山市11.3%4)福島市7.5%5)白河市4.7%6)会津若松市2.6%──などとなっている。

現在の避難先住居は1)自治体が借り上げている住宅58.8%2)自己負担の賃貸住宅9.2%3)仮設住宅8.9%4)その他7.9%5)避難所(ホテル・旅館含む)5.7%6)親戚・知人宅5.5%──の順。

町の考えとして、1)町民の絆をいかに継続して維持できるかが最も基本的でしかも最大の課題、2)そのためには仮設住宅など避難エリア(他県含む)ごとにコミュニティ機能を再建することが最も効果的──とし、それを可能にする核となるリーダーの養成が求められるとしている。

これらの考えに対して町民は、1)加須に役場があるなど県外拠点への不満(76件)2)避難者を集めて会合・集会の機会を(69件)3)町の考えに基本的に賛成(48件)4)ホームページや電子回覧板などの広報を(47件)5)住民のリーダーを育成し町のために働いて(45件)6)情報伝達には広報誌などの郵送が有効(31件)7)個人で避難している人達の不遇への不満(25件)8)避難住民の住所などの情報共有化を(24件)9)仮設住宅の入居者のみ優遇との不満(20件)10)役場職員の住民避難場所巡回などを望む(17件)──と続く。

古里に必ず帰り町を復興することを目標にするものの、そのための手段として、町ぐるみで集団移転「時限的町づくり」(仮の町)を実施したいとの考えに対しては、1)必要48.6%2)分からない24.6%3)必要ない16.0%4)無回答10.8%──となり、約半数の住民が「仮の町」を支持している。年齢別には、「必要」だとする人が19〜29歳は28.0%と最も少なく、70歳以上が55.8%と最も高く、年齢が高くなるほど「仮の町」支持層が増える傾向があった。中学生の賛成は44.4%、高校生は37.9%で親たちの影響が出ている可能性がある。

「仮の町」実現で特に充実を望む項目(3つ選択)は、1)子供が放射能汚染から安全(306件)2)医療施設の充実(271件)3)若い世代の雇用の確保(219件)4)高齢者福祉の充実(194件)5)学校・教育施設の充実(160件)6)交通の便利性(140件)7)近隣のつながりの充実(139件)8)共同施設(店舗等)の充実(99件)9)その他(14件)──となった。


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