天然鉱石フィライトで土壌除染 EMCOM社・日大 セシウム吸着に効果

EMCOMホールディングス社は15日、日本大学工学部との共同研究でフィライト(千枚岩)を活用した洗浄剥離による放射能汚染土壌の除去システム開発の発表記者会見と実証実験を福島市で行った。

汚染された土壌は、特殊エジェクター(空気搬送高圧ジェット水流で汚染土壌を土粒子ごとに分離する装置)を用いて、土壌成分中の粘土粒子を分離する。実証実験では、土壌成分中の粒子を分離し、除染率90%まで洗浄された砂礫層(約500Bq/kg)を回収した。一方、汚染された粘土質懸濁水は吸着剤フィライト濾過槽に運ばれて粘土層(5μm以下)を含む懸濁水処理を行い、再利用可能な処理水と、廃棄する汚染土壌を分離する。除去システムの処理速度は1工程につき3分間以内で、15立方メートルの汚染土壌を1時間程度で処理することができる。

除去システムで使用している天然鉱石「フィライト」は、粘土質の堆積層が変性、風化、腐食することで生成されたもので、内部で気孔がスクランブル状に入り組んでいるため他の物質よりも容積・面積ともに大きく、優れた吸着力で、セシウムを一度吸着すると排出しにくい構造となっている。

今後は土壌だけでなく、ヘドロやがれきなどへの応用も目指す。同システム導入でコスト削減と作業のスピード化を図り、福島県内の汚染土壌を減容し、除染された土壌の再利用化を促進していくとしている。


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