PRISMとEC6評価中 英国の余剰プル処分戦略案

英国の原子力デコミッショニング機構(NDA)は6月27日、余剰プルトニウムの管理方法として、GE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社の「PRISM」炉、およびCANDUエナジー社の「改良型CANDU6(EC6)」で燃焼するという2つの提案を検討評価中だと発表した。現時点で政府はMOX燃料への転換・再利用が最も望ましいと認識。同政策をサポートできる提案を年内にも決定し、最良のプル処分方法を模索していく考えだ。

英国には現在、民生利用で分離抽出したプルトニウムが112トン存在。日本など海外所有分の28トンを含め、2018年までに140トンに達すると言われている。これを長期的に管理する方策案として、エネルギー気候変動省(DECC)は昨年2月、(1)現行の長期貯蔵を継続(2)固化して地層処分(3)MOX燃料に加工して、既存炉と新設する原子炉で再利用――の3案を公開諮問に付すとともに、政府としては(3)案が最も望ましいとする予備的見解を提示。

公開諮問後の同年12月には、この見解の適切さが確認されたとする一方、国民に財政負担をかけずに最後まで確実に管理出来る代替案、および(3)案の支援策をNDAが今年の2月末から3月末にかけて募集していた。

NDAによると、これまでに4案が提案されており、それぞれの責任者と初期協議を実施。このうちGEH社とCANDUエナジー社の2案については、軽水炉での燃料利用と並行してメリットがあるとし、詳細協議を行った後に更なる情報提供を求めていた。

GEH社の案は小型のナトリウム冷却高速炉「PRISM」を統合燃料加工・原子炉利用ソリューションの一環として利用。2基で60万kWを発電しながら、余剰プルをMOX燃料としてリサイクルする。同炉をセラフィールドに建設する研究パートナーとして、GEH社は今年4月から5月にかけて英国国立原子力研究所(NNL)、マンチェスター大学と協力覚書を締結している。NDAとしてはまだ、同案を信頼できるオプションの1つに加えていないものの、その技術的および商業的な確実性に絞った評価を実施中だ。

CANDUエナジー社のEC6は出力70万kWの第3世代炉で、フルMOX炉心で運転しつつ発電が可能。同炉を使う案についてNDAは商業的な確実性の評価と、これまでに行われた技術調査の精密化を実施中で、すでにオプションに追加済みであることを明らかにしている。


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