信頼回復、実効性、人材確保 原産協会 規制新法成立でメッセージ発出

日本原子力産業協会の服部拓也理事長は6日、「新しい原子力規制体制に望む」と題するメッセージを発表した。

まず、東京電力・福島第一原子力発電所事故により失墜した原子力安全行政に対する国民の信頼を回復するため、去る6月27日に「原子力規制委員会設置法」が公布されたことを評価している。

これを受け、今後行われる安全規制の具体的中身を定める関連政省令などの検討が行われる際に、「これまでの我が国の規制制度の課題を抜本的に改善し、世界標準と比肩できる規制制度に改革されることを期待したい」として、これまでに指摘した(1)専門性(2)透明性と説明責任(3)国際性──の3点に加えて、(1)国民の信頼回復(2)現場の状況を踏まえた実効的な規制(3)優秀な人材の確保と育成──の3点を要望した。

国民の信頼回復では、規制組織が事業者を指導・監督するにあたって、国際的な最新の知見を反映するなど、明確かつ科学的・合理的な判断基準に基づいた、分かり易い規制とし、それを国民に丁寧に説明することが求められるとした。

また、実効的な規制では、細部にわたる書類による形式的な規制ではなく、現場の状況を踏まえた実効的な規制に重点を置くべきだと主張している。

特に、これまでのハード面(設備)中心の規制から、ソフト面(手順や体制など)の整備による、柔軟かつ効果的な規制を行うことで、発電所全体の安全性向上を図ることを求め、これらの規制は継続的な改善が重要だと指摘している。

さらに、優秀な人材の確保と育成では、事務局となる原子力規制庁の職員にも高い専門性が求められることは当然として、幅広い視野を持つ人材の育成にも格段の配慮が求められるとしている。

最後に、同理事長は、事業者へのメッセージとして、「原子力安全確保の第一義的責任は事業者にあることは論をまたない」と指摘し、国による規制の「お墨付き」をもらうという発想から脱却し、自らの責任で、より高みを目指して安全性の向上に取り組むよう、事業者側の意識改革が求められていることを忘れてはならない、と結んでいる。


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