政府が閉鎖予定を取消し スペインのガローニャ原発 2019年まで運転の可能性

スペインの産業エネルギー観光省は3日付けの官報で、サンタマリア・デ・ガローニャ原発(=写真)(BWR、46.6万kW)の運転寿命を2013年7月までとする2009年の省令を一部取り消すと発表した。

TMIおよびチェルノブイリの両事故により、同国では明確な脱原子力政策によって原子炉の新設を禁止している一方、再生可能エネルギー等による代替策が大きな効果を生まないなか、既存炉の運転期間延長は重要な政治的合意事項。「19年まで運転継続が可能」とする原子力安全委員会(CSN)勧告を全面的に採り入れた措置で、事業者のニュクレノール社は今後、2019年まで運開以降通算48年間の運転認可取得に向け、「決意と熱意とプロ意識を持って」申請準備を進めていくとの抱負を明らかにしている。

スペインでは1971年に運開した同原発に関して、CSNが09年に「安全性と放射線防護で改善対策を施せば19年まで10年間の運転認可延長を承認する」と評価したが、政府はこの時、13年まで4年間、運転期間の延長を承認した。今年初めに政府は改めて同原発の運転期間延長の可能性をCSNに諮問。CSNは今年2月、「13年以降の運転を阻む要因は見あたらない」との意見書を産業省に提出していた。

今回、政府は官報の中で、13年で永久閉鎖する決定の取り消しに当たり考慮した7点を列挙。同原発が安全性や放射線防護に関するCSNの要件を満たしていること、エネルギー輸入依存からの脱却を目指した電源多様化や温室効果ガスの排出量削減で原子力が果たす役割、原子力がもたらす電力の安定的な供給力などを強調している。

スペイン原子力産業会議はこの省令修正について、「的確で理論的な判断だ」と評価。昨年実施したストレステストでも、ガローニャ原発が設計上、十分な裕度を有することをCSNが確認しており、省令の修正は技術的かつ合理的な議論に基づくなど、その運転継続は極めて合法的だと指摘した。

同原産はまた、スペインでは原子炉の運転年数に法的な制限が設けられておらず、CSNの安全指針に基づいて各原子炉で10年毎に運転認可が更新される点に言及。同原発は2011年に原子力による発電電力量の6.5%を賄っており、過去10年間では雇用や税金などでもたらした経済効果は3億5550万ユーロにのぼると強調している。


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