開発チームにブイグ社 仏の第4世代高速炉開発

仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)は6月26日、第4世代の新型ナトリウム冷却高速炉(ASTRID)の開発に仏国大手ゼネコンのブイグ建設が土木エンジニアリング設計で参加することになったと発表した。すでに仏国内外の原子力関係企業8社が協力する研究開発チームにブイグ社を加え、高速炉技術の完全な成熟を目指す官民の取り組みが加速されることになる。

CEAは1950年代に高速炉開発に着手。高速増殖炉原型炉フェニックスおよび実証炉スーパーフェニックスで得られた経験を元に、ナトリウム冷却による高速炉の基準炉と位置付けたASTRIDをエネルギーの供給保証および自給のみならずウラン資源の有効活用とプルトニウムの多重リサイクル、高レベル廃棄物の燃焼・減容などに役立てる考えだ。

現在、出力60万kWの原型炉の初期設計研究が行われており、2020年の完成を念頭に17年に建設に進むか否かの判断を下す予定。同計画は2006年に制定された「放射性廃棄物と放射性物質の持続可能な管理に関する計画法」および10年にCEAと仏政府が結んだ「将来投資プログラム」に関する合意に基づいており、政府は詳細設計が完了するまでに6億5200万ユーロの提供を約束している。

産業界との連携に関しては、10年11月に仏アレバ社がCEAとの共同設計に合意。原子炉設計に関するアレバ社の特殊な経験と技術を活かし、ASTRIDの原子力蒸気供給系と補助装置および計装制御(I&C)系を設計している。

また、今回参加したブイグ社はフィンランドのオルキルオト3号機および仏国のフラマンビル3号機の両建設計画で欧州加圧水型炉(EPR)建設の土木エンジニアリングを請け負った経験が買われ、ASTRIDでも同じ作業を担当。同社は最近では、英国の新設計画第1号となるヒンクリーポイントC建設計画でも、土木建築作業発注先の最有力候補として事業者から選定されている。

ASTRID計画ではCEAがプロジェクト管理と構造建築全体、および炉心と燃料設計で中心的役割を担うが、関与する約500名のうち約半分が次の企業からの参加者となっている。すなわち、東芝(大型電磁ポンプ)、およびアルストム社(エネルギー変換システム)、英国のアメック社とロールス・ロイス社(開発協力)、仏コメックス・ニュークリア社(ロボティクスとその操作)、仏電力(EDF)(プロジェクト管理補助と運転経験の共有利用)、ジェイコブズ社(共通資源とインフラ)である。


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