エネ政策の選択に新手法 討論型世論調査 国政で初の試み

現在、政府が進めているエネルギー・環境の選択肢に関する国民的議論の一環として、国政レベルでは初の試みとみられる「討論型世論調査」が行われる。これは、一般人には十分な情報がない公共的政策課題に対して有力とされている調査手法の1つで、(1)電話世論調査に続いて、討論をさせた後、(2)討論前アンケート(3)討論後アンケートの合計3回の調査を実施し、熟慮された意見の推移を取りまとめるもの。

既に、7月上旬から、全国の成年男女3000人余りを対象とした無作為抽出による電話世論調査が進められつつあり、この回答者の中から、200〜300人が参加する「討論フォーラム」を8月4、5日に行い、討論の前後で実施するアンケート調査により、参加者の意見や態度の変化を分析する。「討論フォーラム」は、15人程度の小グループ討論と、専門家への質疑応答を行う全体会議をそれぞれ2回行うが、小グループ討論で司会に立つモデレーターには、参加者の自主的な意思決定を導き、結論を誘導せぬよう、専門的研修を施すこととしている。

討論型世論調査実行委員長の曽根泰教・慶應義塾大学政策・メディア研究科教授(=写真中央)は、これまで地方自治体の計画策定で用いられた実績があるとしているが、「国政レベルで政策決定過程の一部に組み込まれるのは初めて」などと、本調査手法に期待を述べている。

調査に際しては、本手法を考案したスタンフォード大学のジェームズ S.フィスキン教授をヘッドとする監修委員会を設置し助言を受けるほか、情報・データを供給する総合資源エネルギー調査会基本問題委員会を務めた専門家を中心とした専門家委員会、中立性を評価する第三者委員会を設けて、より信頼性の高いものとしていく。


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