新規制体制と議論の必要性も 原産協会

原産協会は12日、東京・港区の会議室で「世界の原子力発電開発の動向2012年版」および「原子力規制の新しい取り組み」について、記者ブリーフィングを行った。

服部理事長は冒頭の挨拶で、「福島第一原子力発電所の状況は、事故後約16か月たって、かなり安定した状態になっている」と説明した後、「事故で国民の信頼が地に落ちた。これをどう回復していくかが課題だ。国会事故調査委員会の報告は、極めて厳しい内容となっている」と現状を重く受け止めた。

原子力発電の状況について、「大飯3号機の稼働で、原発ゼロの状態からは脱却した。日本はこれからも原子力技術を保持していくべきと考えている。福島の経験を生かし、世界の原子力のために役立つことが大切で、我々の責任は重い」と述べ、今後、エネルギー・環境会議のエネルギー政策の決定に向けて、「産業界の立場から意見をまとめ、提出していきたい」と語った。

6日に原産ホームページで発表した「新しい原子力規制体制に望む」と題する理事長メッセージに関しては、原子力発電所の運転期限について、「運転経験を積むことによって、当初想定していた年限の1.5倍程度の延長は、技術的にも国民経済的にも延長した方が適切なのではないか」と述べた。

また、新たな事象に対する対策として、現在のバックチェック(既存設備等の確認)から今後はバックフィット(法律上の適用)に移行する点について、同理事長は「設備上、対応が難しいバックフィットが出てくるかも知れないので、その他の対策で対応できるのであれば、ソフト面などでの対応でもいいのではないか。オープンな場で規制当局と議論することを覚悟しなければならない」とした。


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