ベラルーシの原子力導入計画 ロシアと建設契約に調印

ベラルーシは18日、同国初の原子力発電所建設計画の一括請負契約をロシアと調印した。首都ミンスクでの調印式には両国の首相も同席した。

同契約は建設コスト設定や機器の納入および支払の時期といったロシアとの契約内容や双方の責任義務事項など基本原則を定めたもので、1号機と2号機の完成日程をそれぞれ2018年11月と20年7月に設定。サイトではすでに6月から準備作業が始められており、同国の原子力導入計画は実現に向けて急速に加速度を増している。

1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発はベラルーシとの国境から16kmという近さにあり、同国は最も大きな放射線被害を被った国の1つ。しかし、国内のエネルギー資源は乏しく1次エネルギーの8割以上を輸入に依存しているため、90年代後半に原子力導入に関する実行可能性調査を実施した。

2009年にベラルーシ政府はロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)社を主契約者とし、リトアニアとの国境に近いフロドナ州オストロベツ市を第一立地候補地に120万kWのロシア型軽水炉(VVER)であるAES2006を2基ターンキー契約で建設することでロシア側と合意した。その後、2011年10月に契約の枠組協定に調印したのに続き、翌11月にロシアからベラルーシへの融資に関する政府間協定を締結。今年1月にはベラルーシ産業銀行がロシア国営・開発対外経済銀行(VEB)と銀行間協定を結ぶなど、ロシア政府から100億ドルの融資取り付けが確実となった。

同国にとって原子力発電は今や、年間50億立方メートルの天然ガスの輸入削減に貢献するのみならず、発電コストの低減や1070万トンの温室効果ガス排出抑制にも役立つという認識。ロシアと結んだ契約では、建設コストの財務分析に指数法を用いるなど、ロシア国内での原発建設と同様の条件で価格設定する。と同時に、ロシアがリトアニアと隣接する飛び地で建設中のバルチック原発のコストを超えるべきではないとの点で合意に達したとしている。

なお、この件に関しては、4日にV.セマシュコ第一副首相を議長とする関係者会合が開かれ、ベラルーシ原発建設理事会のほか、主契約企業のASE社を今年3月に吸収して設立されたロシアのNIAEPASE社、ベラルーシの下請け企業および、地元フロドナ州の代表らが参加した。

会合開始前に出席者はオストロベツの建設サイトを視察。1号機の基礎ピット掘削状況や、ロシアとベラルーシそれぞれ専用の事務棟、管理事務室、倉庫、現在の作業に携わっている労働者500名用の食堂を含む管理総合施設の建設状況が確認された。年内にこれらの14施設が完成予定のほか、基礎ピットに関しては凍結防止用の排水基盤設備を11月1日までに完成させる方針だ。

建設計画にはベラルーシの供給業者も設計・建設活動に可能な限り参画。これまでに34社が潜在的な供給業者となるために機器の統一データ・カタログに登録済みのほか、16社が準備段階にあるとしている。


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