人材ネットワークの確立を 原産協会 廃炉国際協力でも提言

日本原子力産業協会の服部拓也理事長は7月27日、「原子力人材育成の課題と対応」と題するコメントを発表した。

東京電力・福島第一原子力発電所事故後、我が国では、エネルギーミックスの選択肢に関する国民的議論が開始されているが、世界を見渡せば、「ドイツなど一部の国を除き、多くの国がエネルギーの安定供給と地球温暖化対策、さらに化石燃料価格の高騰に対応するため、安全性を再確認した上で、引き続き原子力の開発を継続していく方針を表明している」と指摘し、とりわけ、中国、インドなどの新興国やべトナム、トルコなど原子力発電の新規導入国では、積極的な開発計画を発表しており、「我が国の技術力による支援に対する期待も大きい」とした上で、「事故の教訓を共有し世界の原子力発電の安全性の向上に活かしていくことは、我が国の責務でもある」と強調。

そのような状況下、将来原子力界を志す若者が少なくなっている問題点を指摘し、海外からの期待に応え、我が国の技術力を活かして世界の原子力開発に貢献していくことも重要であることから、「チャレンジングな技術課題も多く、原子力産業にはやりがいや夢のある仕事がたくさんあることをアピールしていくことが重要だ」と強調し、その1つとして、福島の廃炉に向けての研究開発を国際プロジェクトとして進めることを提案している。

また、「物理的にも感覚的にも現場から離れた管理的な仕事が増え、いわゆる現場力の低下も」と指摘し、これまで各組織、各機関がそれぞれ独自に進めてきた人材育成に関する取組を、「あらためて国全体として整理して、整合性のとれた形で再構築すべき」と訴え、産官学の関係機関が連携した「原子力人材育成ネットワーク」の確立を促している。

その上で、事故を経験した今こそ、長期的視点に立って必要な資源を投入し、世界標準となりうる我が国の人材育成システム確立を加速すべきなどと訴えている。


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