OL3の起動時期さらに遅延 フィンランド

フィンランドのテオリスーデン・ボイマ社(TVO)はこのほど、世界初の欧州加圧水型炉(EPR)として2005年から建設中のオルキルオト3号機(OL3)の起動時期について、「2014年の営業運転開始は無理」との見通しを公表した。

当初予定の09年から幾度となく延期されてきた同炉の完成日程だが、同社は工事を請け負った仏アレバ社と独シーメンス社の企業連合に責任があると主張。作業日程全体を見直すとともに新たな完成期日の確認・分析を提示し、日程厳守のための方法についても明確化するよう求めている。

同建設計画では、今年2月にタービン系統設備の起動試験を実施。大型機器や主要な配管の設置も完了し、起動準備を進めている段階だが、TVOは完成時期のさらなる遅延という状況に不満を示しており、現在、未解決の計装制御系の課題を少しずつ解決中であることを明らかにした。

フィンランド側は06年、建設計画が遅延している理由として、(1)企業連合がフィンランドの規制体系に不慣れ(2)下請け業者の中に原子力施設の経験がないものが多く、品質管理改善に時間がかかった(3)土建作業全体を統括するアレバ社の責任者がサイトに常駐していなかった――などを指摘。

一方、企業連合側は、フィンランド安全当局に提出する関係書類の認証作業にTVOは平均9か月を要するなど、契約に明記された2か月以内で終わっていないと主張した。TVOが固定価格のターンキー契約である点を譲らぬため、企業連合側は08年末、作業の遅れに伴う追加経費の支払を巡って国際商工会議所(ICC)に仲裁手続きを要請した。

これについてICCの仲裁裁判所は今月5日、TVOの保留している1億ユーロと未払い利子の2500万ユーロを企業連合側に支払うよう裁定。訴訟により企業連合に生じた経費も負担する必要があるとの判断を下している。


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