感情論排し、議論慎重に 原産協会が意見書 3年後に検証を

原産協会は10日、政府のエネルギー・環境会議による2030年時点の原発依存度を基準とした3つのエネルギーシナリオ提示に対し、原子力を今後も選択肢として残した上、その比率については時間をかけ冷静に議論を行い、国民的議論を受けた選択の結果についても、3年後程度の時期を明示して検証を実施するよう求めるなど、「短期的な世論に捉われず慎重な議論」が行われるよう意見を取りまとめ、エネルギー・環境会議を所管する国家戦略室に提出した。

意見書ではまず、「推進を口にするだけで非難を浴びる」などと、原子力に対し感情論が先行しがちな状況下でエネルギー問題が検討されていることに対して、「強い懸念」を表明している。

一方で、福島原子力事故については、「得られる反省事項を活かして安全確保に最大限の努力を傾注すること」とした上で、(1)徹底した安全強化対策に取り組み世界最高水準の原子力発電システムの確立を目指す(2)原子力技術の維持・向上に努め新興国を含めた世界の原子力発電の安全向上に貢献していく(3)高レベル放射性廃棄物の処理処分問題についても早急に取り組む――を着目点に挙げ、それらの確実な実施に向け、技術進歩を怠らずに人材の確保・育成を図るべきことを掲げた。

また、わが国の極めて低いエネルギー自給率、原油価格高騰などのリスクへの直面や、オイルショックの経験からも、原子燃料サイクルの確立を、引き続きエネルギー政策の柱として維持すべきと強調している。一方で、化石燃料依存による地球温暖化や、再生可能エネルギーの不確実性を指摘した上で、原子力を選択肢として残し、エネルギー供給の安定化と、温室効果ガス削減に対する先進国としての義務を果たすよう訴えている。

さらに、原子力を化石燃料と再生可能エネルギーに置き換えることで生じる電気料金の上昇が、国民生活への負担増や、国内産業の空洞化につながることを危惧し、経済に及ぼす影響に関する十分な検討も求めている。


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