カナダで4半世紀ぶりにサイト準備許可 ダーリントンで2基増設へ

カナダ原子力安全委員会(CNSC)の共同審査小委員会(JRP)は17日、オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社が申請していたダーリントン原子力発電所の増設計画に「サイトとプロジェクト概要の準備に関する許可(SPL)」を発給する判断を下した。同国では2009年に3件の新設計画で申請が取り下げられるなど、建設許可と運転許可の前提となる許認可が与えられるのは4半世紀ぶり。SPLは2022年8月までの10年間有効であることから、OPGでは18年以降に2基・約200万kWを運開させるため、サイトでの準備活動や建設許可の申請に向けた作業を開始する。

OPG社がダーリントン・サイトで最大4基・480万kW分の原子力発電設備建設でCSNCにSPLを申請したのは2006年のこと。09年にCSNCと環境相が独立の立場の専門家3名を同計画に関するJRP委員として指名後、OPG社が作成した環境影響声明書とSPL申請書に関する審査や公聴会等が実施されていた。

JRP委員は昨年8月に増設計画がサイト近隣の環境に悪影響を及ぼすことはないと結論付ける報告書を連邦政府に提出。この勧告を受けて、政府は今年5月に同計画を実行に移すことに同意した。SPLを基本とするカナダの新しい許認可システムでは、環境影響評価やSPL発給のほか、建設許可と運転許可の発給についても一般市民が意見表明する機会を設定。今回の判断についてJRPの委員長は、「数百人もの一般市民との議論を通じ、彼らの意見を反映させるなど、透明性のある方法で最良の決断に到達できた」としている。

採用炉型については、09年2月にOPG社が仏アレバ社、カナダ原子力公社(AECL)、米ウェスチングハウス(WH)社から提案書を受領。今年6月には、AECLの商業炉部門を買収したSNCラバリン社とWH社の2社がOPG社と結んだ合意に基づき、それぞれ改良型CANDU6(EC6)とAP1000を2基建設するための詳細な建設プランや日程、経費見積等を1年以内に準備することになった。オンタリオ州政府から選定された供給業者は、敷地の伐採や整地、掘削等を請け負う予定だ。


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