ドール3の圧力容器に亀裂 ベルギー

ベルギー連邦原子力規制局(FANC)は16日、定期検査で圧力容器最底部に数多くの毛髪状亀裂の存在が検知されたドール原子力発電所3号機(PWR、105.6万kW)について関係各国の専門家による技術会合をブリュッセルで開催した。10月の国際専門家会合までに実施される追加の検査結果に基づき、同炉の今後の処遇に関して完全に公平な立場から措置を取るとしたほか、同炉と同じく1970年代にオランダのRDM社が鍛造した圧力容器を有するチアンジュ2号機(PWR、105.5万kW)についても同様の検査を行うとしている。

ベルギーで稼働する原子炉7基すべての運転を担当しているエレクトラベル社は、10年に一度義務付けられている大規模な点検のため6月2日にドール3号機を停止した。その際、同国で始めて採用した新しい超音波センサー検査で圧力容器に亀裂が入っていることを示す結果が出た。

事態を重く見たFANCは16日の技術会合に米国、仏国、英国、スイス、オランダ、ドイツ、スペイン、スウェーデンの専門家を召集。同炉の状態に関する情報や圧力容器の検査と健全性に関する専門的知見を共有した。エレクトラベル社は今後、同炉を停止状態にした上で9月末までに追加の調査を実施。FANCは10月の国際専門家会合、第2回目の技術会合等でその結果を分析し、同炉に対する最終決定を下す。

チアンジュ2号機についても追加の検査結果次第でドール3号機の議論と一本化。FANCは両炉ともに現在停止状態にあるため、作業員や周辺住民、環境に対する危険性はないと強調した。また、7月に運転期間の10年延長が決まったチアンジュ1号機では来年に、比較的新しい同3号機、ドール4号機でも同様の検査を実施する考えだ。

なお、EUが実施を主導しているストレステストの有効性についてFANCは「異なる目的で行われているので、同テストの結果は完全に有効と見なされる」と断言している。

両炉の圧力容器を鍛造したRDM社は製造業者として現存していないが、経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)によると、同社製圧力容器はベルギーの2基を含め合計22基(=表)で採用されている。NEAは、これらを擁する各国の規制当局が同様の異常の有無に関する検査について事業者と協議し、運転継続のための安全確保で事業者が対策を取るよう確認していくことになると明言。微細な亀裂に関する今後の検査で万全を期すにはこの種の経験の活用が賢明であるとの判断に基づき、NEAとしてもその他の機関を協力して、規制当局がこうした課題で経験を共有する場を提供していく方針だ。


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