認可発給を一時停止 米規制委が決定

米原子力規制委員会(NRC)は7日、原子炉新設計画における建設・運転一括認可(COL)手続き、ならびに既存原子炉の運転認可更新手続きで最終的な認可の発給を一時的に停止する方針を明らかにした。

NRCが2010年に改定した廃棄物信頼性決議(WCD)等に対し、コロンビア特別区巡回控訴裁判所が6月に「現行法に違反する」と裁定したのを受け、この問題の解決まで新たな認可発給の凍結を決めたもの。これにより、EPC契約締結済みのレビィ・カウンティ1、2号機建設計画のCOLを含め、現在進展中のCOL審査19件、認可更新審査12件、ワッツバー2号機の運転認可審査が影響を受けるが、一部の報道では、審査手続き自体は継続するようNRC委員がスタッフに命じたと伝られている。

WCDはNRCがCOLおよび認可更新の申請に対して判断を下す際、根拠とするリスクや確証に関する規定で、(1)地層処分場の技術的適性(2)処分場の運開予想時期(3)地層処分に到るまでの使用済み燃料の安全な管理(4)安全な一時貯蔵期間(5)安全な貯蔵施設の確保性――の5つの科学的な事実認定事項で構成される。

オリジナルのWCDが1984年に発効された後、廃棄物処分に関する新たな了解事項等を反映させるため、NRCは1990年にこれを改定。2010年の改定時には、(2)において「2007年から09年までの間」と明示されていた処分場の利用可能時期を「必要となる時期」に改定したほか、(4)で「発電所の運転認可満了後、少なくとも30年間は可能」としていたサイト内一時貯蔵の安全性保証期間を「少なくとも60年」に改定した。

このような結論に対して3つの環境保護団体は、「処分場の設置を阻む社会的、政治的な障害を十分考慮しておらず、必要な時期に処分場を利用できるという文言は設置が間に合わなかった場合の影響に注意を向けていない」と提訴。裁判所も、この改訂、および付随する使用済み燃料の一時貯蔵規則の改定は国家環境政策法(NEPA)に違反すると判断した。

また今年1月には、使用済み燃料と高レベル廃棄物の管理処分対策を審議していたオバマ政権の有識者によるブルーリボン委員会がユッカマウンテンに代わる処分場建設サイトを地元の同意に基づいて一から選定し直すよう勧告。こうしたことから、裁判所はNRCが廃棄物管理に伴う将来の危険性やそれに伴う影響を適切に調査していないと判断し、WCDで改定された(2)と(4)を無効とする裁定を下すに到った。

NRCは今後、この課題の解決に向けてあらゆる選択肢を考慮する考えで、解決まではWCDに左右される許認可を新たに発給しないが、具体的な活動方向や日程は未定だと説明している。


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