国家存亡の危機紙一重 菅直人前首相 福島事故振り返る

福島事故当時の菅直人首相が8日、東京・日本記者クラブで講演し、民主党政権の3年間を総括し、日本のエネルギー政策や政治状況について述べた。

菅前首相は福島事故について、「よく事故の拡大が停まってくれたと感じている。紙一重をすり抜けたということだろう。もっと大変なことになった可能性はある」と当時の最高責任者として振り返った。「首都圏3000万人が逃げなくてはならなくなったときの経済的ダメージはどうなるのか、まさに国家存亡の危機に陥るのだ」とも述べた。

今後の原子力発電について、「民間が原子力発電に対し100%責任を持つことができるか。原子力発電は一刻も早く、国に集約し(適正価格で買い取って)、そのうえで廃炉にするかしないか考えるべきだ」と考えを述べた。

事故当初の具体的な対応では、東京電力から国へ支援要請があったのは電源車の送付が最初であったことを明らかにし、「電源車さえ届けば10時間程度の時間が稼げるので、その間に電源を回復させる。なんとしても送ってくれ」ということであったので、最大限の努力を行ったが、プラグが合わず、配電盤も海水をかぶって使えなかったことを披瀝し、「東電は全電源喪失を想定して対策しておくべきだった」と指摘した。菅前首相講演の動画は、日本記者クラブのホームページ(http://www.jnpc.or.jp/)から見られる。


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