「独自の厳しい姿勢で臨む」 田中委員長候補が所信 衆参両院に提出

田中俊一・原子力規制委員会委員長候補は23日、「新たな原子力規制の実現に向けて」とした文書を衆参両院の議院運営委員会理事会に提出した。自身が委員長に選ばれた場合に、全力を尽くし誠実に実行していく考えを表明し、課題に対する基本的な取組み方針を表明したもの。

再稼働については、ストレステストを中心とした現在の評価方法を規制委員会として独自に見直し、不十分な点を改めるとした。ただ事業者の提出した申請を確認するだけではなく、さらなる安全をめざして規制委員会として能動的に確認と評価を行った上で判断する姿勢で臨み、新たな調査の結果、活断層による影響があるとの判断がなされれば、稼働を認めず、さらには廃炉を求めるとした。

40年運転制限制については、立法の趣旨と国会の議論をふまえて厳格な運用を行うとし、安全性の確保にわずかでも曇りがある可能性があれば、躊躇なく運転の終了を判断するとしている。

安全については、速やかに既存の指針と規制を抜本的に見直すとし、その際に国会・政府の事故調査委員会等による各提言、勧告を着実に実施するとした。想定外の事故までも念頭において、すべての規制について不断の改善を行い、日本の原子力規制を常に世界で最も厳しいレベルのものに維持すると決意を述べている。

独立性と透明性の確保については、政府内の推進組織、事業者、政治からの独立を大前提とするにあたり、意志決定過程などを積極的に開示して透明性を確保するとしている。そして、人材の確保・育成、安全文化の徹底などに関して、国内外から広く知見を集め、専門能力の向上に努めることにも触れた。

原子力ムラの一員と批判されることについては、自身が判断する立場にはないとする一方、電力事業者とは距離のある研究分野に身を置いていたとし、今後独立性と透明性を確保しながら規制を行っていくことこそが重要と明言した。

これまで得た知識や経験など持ちうる全てを原子力安全確保のための規制に注ぐと決意を語り、「事故から学び、国民の安全と健康を第一に考え、科学的に厳しい目で行う原子力の規制を、私の手で実現する」と強調した。

同氏は1日の衆参両院の議院運営委員会で、今回の文書内容と同様の所信表明を行っている。


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