会員向けに原賠制度を説明 原産協会

日本原子力産業協会は28日、会員向けのテーマ別原産会員フォーラムのシリーズ第1弾として、「福島第一原子力発電所事故の原子力損害賠償について」解説した。

日本の原子力損害賠償法は、(1)原子力被害者の保護(2)原子力事業の健全な発展──を目的として、民法のルールを一部修正する特別法として制定された。

民法では、自分の行動に落ち度がない限りその責任を負わされないが、原賠法では「落ち度」の有無を問わず、生じた損害の全てについて賠償責任を負うという「無過失責任」を採用。それによって、「不可抗力」の抗弁を許さず、被害者を救済することができる。事業者の無過失責任を定めた法律は、鉱業法、大気汚染防止法、製造物責任(PL)法など数少ない。日本の原賠制度では責任額に制限も設けていない。

電力会社など原子力事業者のみが責任を負う「責任集中」を採用することによって、メーカーなどの責任を回避し、原子力事業者の求償権行使も「第三者の故意」があるときのみに限定している。それにより、原子力産業に参入する者の賠償リスクを免除すると共に、被害者の賠償請求を容易にしている。

これらの責任「無過失責任(制限額なし)+責任集中」を果すため、原子力事業者には大きな責任が発生するため、(1)賠償のための資金準備(2)賠償履行などにおける国の支援──が必要になる。

事業者責任と賠償措置額の関係は、原子力発電所1サイト当たりの「賠償措置額」が1200億円で、それを超えて必要な場合は国が援助を行う。

賠償措置額は原子力発電所の場合、50、300、600、1200億円などと次第に上げられてきた。

1200億円は、民間の保険会社との原子力損害賠償責任保険と、国との原子力損害賠償補償契約で措置されるが、今回のように地震、噴火、津波など保険上の免責事由に該当する場合は、国との同補償契約で補償される。原子力事業者が免責されるのは、「異常に巨大な天災地変または社会的動乱」のみで、天災地変は歴史上あまりみることのない災害であり、社会的動乱は戦争や武力攻撃を受けた場合など極めて限られた場合で、今回の福島第一事故を引き起こした巨大津波については、早い段階で適用が否定され、東京電力に賠償責任があるものとして賠償が進められた。

その後、被害者の賠償をスムーズに進めるため、新たに原子力損害賠償支援機構法、原子力被害者早期救済法(仮払い法)、放射性物質汚染対処特別措置法(除染法)などが整備された。

今後の原賠制度の見直しでは、国の責任のあり方、事故収束に関わる国の関与および責任のあり方、適切な賠償措置額、国際条約と原賠法との整合性などの課題が挙げられている。

会員からは、「東京電力から仕事を受けている企業は、発注先に請求できるか難しい判断が迫られる」などの意見・質問が出された。


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