日本の国際展開に期待 米戦略研報告 原子力エネに言及

米国の戦略国際問題研究所(CSIS)はこのほど、R.アーミテージ元国務副長官とジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授による日本委員会報告書「日米同盟──アジアにおける安定」を発表した。

同報告書は「エネルギー安全保障」の章の中で、「原子力エネルギー」についても論じ、日本の包括的な安全保障を考える上で、「原子力研究開発における日米協力は不可欠だ」などと強調している。

報告書では、日本の原子力発電は、「現在そして将来も(二酸化炭素)排出のない唯一の重要なベースロード電源であり続けるであろう」との見通しを示し、「国家のエネルギー政策に関する決定の遅れは、重要なエネルギー依存型産業の日本からの撤退を促すおそれがあり、国家の生産性を脅かすかも知れない」と警告を発している。

また、発展途上国は、今後も原子炉建設を進めることから、「恒久的な運転停止は、責任ある国際的な原子力開発の妨げになりかねない」と危惧した上で、国際展開を進めるロシア、韓国、フランス、それに今後は中国も加わってくることから、「世界が効率的で、信頼でき、安全な原子炉および原子力サービスから今後も恩恵を受けようとするならば、日本が遅れをとっている余裕はない」として、日本の輸出推進政策を実行する背中を後押ししている。

その上で、「日本と米国は、安全で信頼できる民生用原子力を国内外で促進する上で、政治的・商業的利益を共有している」とも指摘している。

このような観点から、日米両国政府は、「福島から幅広い教訓を学び取りながら、この分野での協力を活発化し、安全な原子炉設計と有効な規制の実施を世界規模で展開する上で再びリーダーシップを発揮しなければならない」と鼓舞し、「3月11日の悲劇を、経済的・環境的な一層の低迷の理由にすべきではない」と強調している。


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