「暫定保管」、「総量管理」提言 学術会議 高レベル処分で検討報告

今田高俊・日本学術会議高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員長は、11日の原子力委員会定例会議で検討結果を報告した。原子力委員会は10年に学術会議に対し検討依頼していた。

報告書では、エネルギー・原子力政策における社会的な合意がないまま、最終処分地選定への合意形成を求めるのは適切でなく、大地震など不確実な自然現象の中で数万年以上にわたって安定した地層を確認することへの限界が指摘された。

原子力委員会への提言としては、(1)高レベル放射性廃棄物処分に関する政策の抜本的見直し(2)科学・技術的能力の限界の認識と科学的自律性の確保(3)数十年〜数百年の処分方策確立のためのモラトリアム期間としての「暫定保管」、および高レベル放射性廃棄物の総量上限を確定し増分を抑制する「総量管理」を柱とした政策枠組みの再構築(4)負担の公平性に対する説得力ある政策決定手続きの必要性(5)討論の場の設置による多段階合意形成の手続きの必要性(6)問題解決には長期的なねばり強い取り組みが必要であることへの認識――を挙げている。

これに対し、原子力委員会からは、暫定保管によって次の世代に先送りすることへの懸念などについて意見が出され、今後委員会内で報告書内容を精査していくとした。


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