「原発ゼロ社会」の実現を 民主党 エネ・環境戦略へ提言まとめ

民主党のエネルギー・環境調査会(会長=前原誠司・政調会長)は6日、「『原発ゼロ社会』を目ざして──国民とともに、大胆かつ現実的な改革を進める」との提言を取りまとめ、前原会長が翌7日、野田佳彦首相に、政府のエネルギー・環境戦略に反映するよう求めた。

民主党の政策提言では、基本的な認識として、「東京電力・福島第一原発は極めて深刻であり、一時は政府内で東京、神奈川を含めた首都圏3000万人の避難さえ想定されていた」と指摘し、リスクがあることを前提に、「今後の社会のあり方、経済の仕組みとその根底をなすエネルギー構造を構築しなければならない」と主張している。

さらに、事故が「被災地の方々はもとより、日本全国に大きな負の影響を与え、多くの国民に不安をもたらした」と受け止め、「すべての国民が、原発の不安から解放され、同時に良質で低廉な電力を安定的に供給されることで、安心して生活できるようにすることが政治の責任」と強調。

また、「当分の間、原発再稼働は必要」と認めながらも、「非常に厳しい安全基準を達成した、世界最高水準の安全な原発のみ」とも述べている。

その上で、原発ゼロ社会をめざすために、(1)40年運転制限制を厳格に適用(2)原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ再稼働(3)新設・増設は行わない──ことを原則とすることを掲げ、「3つの原則を厳格に適用する中で、2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」との強い意志を示している。

それに向けて、飛躍的に再生可能エネルギーを導入し、政府が年末までにまとめる「グリーン政策大綱」に従って、具体的な計画、実施、検証を行い、検証に際し、「原発ゼロ社会」が(1)国民生活、経済活動へ与える影響(2)原発関連の技術・人材の確保状況(3)青森県をはじめとする関連自治体の理解──なども十分に勘案すべきとしている。

さらに、核燃料サイクルについては、「核燃料サイクル事業に対する国の責任を明らかにし、本質的な必要性、技術成立性、社会的受容性などを一から見直すべき」とし、「全量再処理方式を全面的に見直し、最終処分のあり方を明確にするため、専門機関として原子力バックエンド機構(仮称)を設立し、国が主体的に使用済み核燃料の管理を行うことを明確にすべき」と主張している。最終処分着手までの間は、「日本全体の使用済み核燃料を中間貯蔵する施設の設置を進めなければならない」としている。

また、高速増殖原型炉「もんじゅ」については、「成果の取りまとめに向け、年限を区切った研究収束計画を策定し、実行する」とした。

これら国策転換に伴う地域への影響は、「国が責任をもつことを明らかにし」、地域経済や雇用が安定的に維持できるよう措置すべきとしている。

海外輸出については、「国内で原発ゼロを目ざしながら、海外に輸出することについては、国内外に批判があり、将来のあり方については、内外の声を十分に聴いて、再検討」と指摘している。


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