福島の線量測定など紹介 放射線遮蔽国際会議 最新知見を発表

日本原子力学会が主催する「第12回放射線遮蔽国際会議(ICRS‐12)」が2日から7日まで、奈良市の奈良県新公会堂で、米原子力学会・放射線防護遮蔽部会会合を兼ねて開催された(=写真)。

33国から約380名(海外から約200名)が参加した同会議は、原子炉や核燃料サイクル施設、廃棄物施設、核燃料輸送・貯蔵、加速器や医療・工業施設等といった分野での放射線遮蔽、放射線防護を対象とし研究動向や最新の知見を共有するのが目的。福島第一発電所事故の影響が残る中で、世界から集った専門家たちが発表と議論を行う貴重な機会となった。

3日の開会セッションでは、同会議運営委員長を務める中村尚司・東北大学名誉教授が挨拶し、新規導入を含め拡大する世界の原子力エネルギー利用のみならず医療・工業分野等での各種放射線利用に伴う安全と発展の基礎を支えるのが放射線遮蔽であると、その重要性を強調し、福島事故関連も含め約350の発表が寄せられたことを紹介した。また、事故を受けて運営委員会関係者が現地での放射線測定や環境修復作業に携わる中で国内準備にも影響が及んだ状況なども紹介した。

続く全体セッションでは、福島第一発電所事故に関する包括的な発表が行われた。名古屋大学の山本章夫教授が事故の概要と原子力安全に関する教訓について、同大学の山澤弘実教授は同事故による放射性物質の大気中への放出状況などについて講演した。

福島第一発電所事故に関する特別セッションでは、計算コードを使った土壌表面のガンマ線量の評価、福島県下の家屋内の放射線量測定、汚染土壌に対する放射線遮蔽設計、福島第一発電所の圧力容器周辺の放射線量予測といったテーマでの研究発表がなされた。

同会議はこの後7日までの会期中、福島事故の影響を取り上げ、環境と個人の線量評価、除染と廃棄物処理、廃止措置等について最新の知見が発表されたほか、広く放射線の検出と計測、ソースターム計測と評価といったテーマで専門的な発表が行われた。

また、放射線遮蔽・防護技術をテーマとした展示コーナーも期間中、会場に併設され、各社が最新の技術や製品を参加者にアピールする場となった。


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