今後のエネ環境方針を閣議決定 舞台は再度、総合エネ調の「エネ基本計画」へ 自治体、国際社会とも議論 「柔軟性持って見直し」

政府は19日、エネルギー・環境会議が14日に決定した「革新的エネルギー・環境戦略」について、「今後のエネルギー・環境政策については、『革新的エネルギー・環境戦略』を踏まえて、関係自治体や国際社会等と責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」(全文)との方針を閣議決定した。同戦略文書そのものを閣議決定とせず、政府方針として閣議決定するにとどめ、今後、法律で定められた総合エネルギー調査会などの審議を通じて決定する「エネルギー基本計画などを閣議決定する」(藤村修官房長官)方針だ。

政府のエネルギー・環境会議(議長=古川元久・国家戦略相)は14日、2030年以降を見据えたエネルギー社会のあり方を示す「革新的エネルギー・環境戦略」を決定した。原発依存度を減らし、化石燃料依存度を抑制することを基本方針とし、(1)40年運転制を厳格に適用(2)安全確認を得たもののみ再稼働(3)原発の新設・増設は行わない――の3原則を掲げ、「30年代に原発稼働ゼロ」を可能とするよう、あらゆる政策資源を投入するとしている。

「革新的エネルギー・環境戦略」では、「原発に依存しない社会の1日も早い実現」、「グリーンエネルギー革命の実現」、「エネルギーの安定供給」を3本柱とし、これらを実現すべく、発送電分離などの「電力システム改革」を断行し、地球温暖化対策も着実に実施するとしている。

核燃料政策、人材や技術の維持・強化、国際社会との連携、立地地域対策の強化、原子力事業体制と損害賠償制度の各政策ごとに、今後取り組むべき課題を整理。その中で再処理路線に関しては、立地地域との約束、国際的責務を果たす観点から、引き続き再処理事業に取り組みながら議論すると記された。サイクル政策に関しては、直接処分の研究に着手し、高速増殖原型炉「もんじゅ」については、廃棄物の減容および有害度の低減等を目指した研究などを実施し、成果を取りまとめ終了することとした。今後、具体化すべき課題としては、バックエンド問題に関して、国が関連自治体や電力消費地と協議する場を設置すること、人材や技術の維持・強化策の12年末までの策定をあげている。

また、国際的なエネルギー情勢や技術開発の動向など、現時点で将来を正確に見通すことは「極めて困難」なことを踏まえ、戦略構築に際しては、変化に柔軟に対応できるよう、検証を行い、不断に見直していくこととしている。

原子力委員会についても抜本的に見直す。

14日のエネ環境会議終了後の記者会見で、古川国家戦略相は、「福島の現実に目を背けず」などと、今回のエネルギー政策見直しの原点を振り返ったほか、戦略策定までのプロセスを通じ、「熟議の民主主義を示す見本となった」と述べ、国民的議論の意義を強調した。


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