原産協会理事長が講演

服部拓也・原産協会理事長は18日、ウィーンで開催中のIAEA総会に合わせて開かれた産業協力フォーラムに出席して、スピーチした。

福島第一原子力発電所事故から約1年半が過ぎた今、事故から得た教訓を共有して世界の原子力発電所の安全性の向上に貢献することが日本の責務であるとし、政府と国会それぞれの事故調査委員会報告の内容を紹介した。

自身の見解としては、同事故が「原子力発電技術そのものに起因するものではなく、その技術を管理するシステムに根本原因があった」と言明。発生頻度は低くても過酷な事態を想定して事前にしっかりと準備し、事前の準備が十分になされていれば、事故の発生や進展は防げたと指摘した。

また、事故直後の情報提供も即座に適切になされていれば、避難や対処の遅れ、混乱はある程度防げたのではないかとの考えを提示。安全文化の中心をなす「常に問い続ける姿勢」が日本の原子力界全体の中で欠落していたことを反省しなければならないと述べた。

さらに事故後の日本における安全確保への取り組み、現在の日本における原子力発電所の状況、除染の基本的考え方、廃炉に向けた中長期的課題への取り組みのロードマップなどについて説明。人材確保・育成、福島の復興、国際協力の大切さについても触れた。

日本の原子力の将来を考えるにあたっては、国民の信頼回復に向けて公開性と透明性を確保することが重要だと強調した。


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