中止計画の経費補償を要求 露・ASE社

ブルガリアで中止となったベレネ原子力発電所計画で建設工事を請け負っていたロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)社は11日、製造済みの機器類や実施済みの作業経費に対するブルガリア電力公社(NEK)への補償要求額を少なくとも10億ユーロに増額したと発表した。

ブルガリアはルーマニアとの国境に近いベレネで原発を完成させるため、2006年11月にASE社を主契約者に選定。出力100万kWのロシア型PWR(VVER)を2基建設する契約を08年にASE社と正式に締結した。しかし、独RWE社の撤退後は資金調達の目処がたたず、ブルガリア議会は今年3月にこれら2基の建設を断念。と同時に、既存のコズロドイ原子力発電所に7号機を増設することとし、ベレネ原発用の機器を流用する案と、新たに別会社から1基購入するオプションを検討している。

ロシア側の言い分によると、ASE社は08年から11年までの間、完成に半年から3年を要する機器の製造を複数のロシア企業に発注。このうち、1号機の原子炉圧力容器はすでに完成し圧力テストを実施した。2号機用の容器も完成間近かったほか、製造作業が終わった緊急炉心冷却系のタンクや加圧器、蒸気発生器などはNEKの受け取り拒否によりロシア企業の倉庫で貯蔵中となっている。

このほか、燃料交換機やタービン類の設計作業も進んでいたが、これらに対するNEKの支払はすでに昨年前半の段階で遅延。ASE社は昨年7月、5800万ユーロの支払いを求めてパリにある国際商業会議所の国際仲裁裁判所に苦情を申し立てていた。

その後、同計画は中止となったが、NEK側が相変わらず支払に応じないことから、ASE社は両者間の06年の合意が期限切れになった等の諸条件に基づき、請求額の増額措置に踏み切ったと説明している。


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