急拡大する中国の原子力 原産会員フォーラム講演 参入の難しさも

日本原子力産業協会は12日、会員向けのテーマ別原産会員フォーラムとして、「中国の原子力情勢」などに焦点を当てた講演会を開催した。

まず経済産業省原子力政策課の担当者が「原子力の国際展開について」と「輸出規制について(安全保障貿易管理制度の概要)」の解説を行った。

我が国のエネルギー政策について、年代別に説明し、1970年代は石油危機への対応として「安定供給」が主眼、90年代に入って安定供給に「経済性」が加味され、さらに「環境」も加わり、2000年代に入るとさらに「資源確保の強化」も入れたエネルギー政策の見直しが行われた。

02年にエネルギー政策基本法が成立してからは、03年エネルギー基本計画を策定、07年、10年に改訂され、福島事故を受けて現在、総合資源エネルギー調査会で見直し作業が行われている。

今後の原子力発電の見通しでは、東アジア、東欧、中東・南アジアなどで大きな伸びが予想されるとしている。

国際展開では、日本メーカーは欧米メーカーとの合弁や資本提携によって、「世界的に大きな影響力をもっている」としている。二国間の原子力協力協定も11年以降、カザフスタン、韓国、ベトナム、ヨルダン、ロシアと相次いで発効済みで、現在はブラジル、インド、トルコ、南ア、UAEと交渉中だ。

核不拡散のための輸出規制については、外為法、輸出管理令、貨物等省令などがあり、国際的には原子力供給国グループ(NSG)の物品リストなどに基づき規制されている現状を説明、民生用途や技術指導などでも、違反事例に該当することもあるので、「輸出許可が必要か否かを確認すること(該非確認)」としている。

「中国の原子力情勢──福島事故後の対応」として、日中科学技術交流会の永崎隆雄・事務局長が講演した。

世界の発電電力量の推移の中で、中国は96年に日本を抜き世界第2位となり、その後、さらに急増して、2011年には米国を抜いて第1位を占めた。

中国の現在の原子力発電所をめぐる状況は、営業中15基にもかかわらず、建設中26基、計画中51基、提案中に至っては120基と、原子力発電への期待が大きく、2050年には4億kWと、現在の世界全体の原子力発電設備に匹敵するほどの規模に拡大するとみている。特に13年からは営業運転入りする原子力発電所が6基以上と軒並みとなる計画だ。

原産協会会員の立場から、商社の双日の関係者が、対中原子力ビジネスの観点から中国の現状を説明し、(1)原子力用製品の国産化が進んできており、特殊な製品以外は中国国内調達が中心になってきている(2)品質や実績は大切ではあるが、やはり価格が最大の決定基準──などと指摘した。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで