震災以来初の建設再開 大間発電所 運転開始時期は「未定」

電源開発は1日、大間原子力発電所(青森県大間町、138.3万kW、ABWR)の建設工事を再開することを発表した。11年3月の東日本大震災発生に伴い、本体工事が休止されていたもの。

大間発電所は、初装荷時からMOX燃料を利用するプルサーマル発電炉で、運転開始後、段階的に全炉心までMOX燃料の装荷割合を増やしていくフルMOX―ABWR設計となっている。08年4月に国から原子炉設置許可を取得し、同5月に着工、11年3月時点での総合進捗率は37.6%に達し、同年冬頃にも原子炉圧力容器つり込みが見込まれていた。運転開始は震災前には、14年11月を予定していたが、現時点では未定となっている。

電源開発では、大間発電所における想定津波高さを4.4mと評価しており、これに対し、原子炉の冷却に必要となる設備は、敷地高さ12mの主建屋内に、また、非常用ディーゼル発電機3台も同高の原子炉建屋に設置するのだが、福島原子力事故を踏まえ、今後の建設中、津波、電源確保、最終的な除熱機能確保、シビアアクシデントへの各対策について、さらに追加の安全強化を施す。また、本体工事休止から相当期間を経ていることから、建物・構築物の品質維持対策も行うこととし、12年8月2日、これら検討状況を取りまとめた上で、同機工事再開を地元の理解のもと、国のエネルギー基本計画の見直しを待って判断するとしていた。

その後、9月14日に、政府が「革新的エネルギー・環境戦略」を決定したのを受けて、同社は、大間発電所について「最新鋭の技術を適用した安全性・信頼性の高い発電所であり、電力安定供給と原子燃料サイクルの一翼を担う重要な発電所」との位置付けを明確にした上で、安全強化対策を運転開始前までに確実に実施するとともに、今後の規制動向や新知見等も踏まえ、より安全な発電所を目指すべく取り組むこととし、建設工事再開の決定となった。

一方、大間発電所の他、現在、中国電力島根3号機が建設途上だが、「革新的エネルギー・環境戦略」では、「原発に依存しない社会」を標榜し、「新設・増設は行わない」ことを原則の1つに掲げている。これに関連し、先立って、枝野幸男経済産業相は、9月19日の閣議後記者会見で、現行法制上、工事の前段階となる許認可の終了しているものについて、途中で取り消すという制度にはなっておらず、稼働の段階で原子力規制委員会の判断・評価がなされるものと説明しており、古川元久国家戦略相(当時)も同日、これに追随する発言をしている。

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枝野経産相は、1日の内閣改造前の臨時閣議後記者会見で、大間建設再開を巡り、エネルギー戦略の掲げる「30年代に原発稼働ゼロ」と「40年運転制限制」のバランスに関する質問に対し、「『40年廃炉原則』を厳格に適用しても、2040年代に稼働中の原発が存在する可能性はある」とした上で、「30年代に原発稼働ゼロ」自体を決定したものではなく、それを可能とするよう、あらゆる政策手段を投入して、新エネ・省エネの推進、エネルギーシステム改革など、1つずつ整理していくなどと述べている。


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