上関 海面埋立延長を申請 地盤高も10メートル→15メートルに 枝野経産相は「新増設認めない」

中国電力は5日、上関原子力発電所(1、2号機、ABWR、各137.3万kW、山口県上関町)の建設に係る公有水面埋立免許に関し、工事しゅん工期間の3年間延長許可を県に申請した。福島原子力事故発生を受け、現在、関連の建設準備工事が中断しているが、6日にしゅん工期限を迎えることから、当面の現状維持を目的として法的手続きを行ったもの。

上関発電所は、山口県南東部の瀬戸内海上、長島の最西端に立地し、敷地造成面積約33万平方メートルのうち、約14万平方メートルを海面埋立により整備するため、法令上、海域における準備工事に際して、山口県から08年10月に公有水面埋立免許を取得している。その後、中国電力は、09年4月に上関準備事務所を開設し準備工事を開始、同年12月には国への原子炉設置許可申請(1号機)を行った。これまで、建設に反対する島民らによる激しい妨害行為が繰り返され、準備工事は難航しており、海域部では、工事区域を掲示する灯浮標設置が実施済みだが、その他の多くの作業が残されている状況だ。

今回の中国電力による県への公有水面埋立免許手続きでは、工事期間の延長と合わせて、原子力事故を踏まえ、発電所主要建物用地の地盤高を、津波に対する安全性を確保すべく、従来の10mから15mへと設計変更する内容も申請されている。

同社では、政府のエネルギー戦略で「原発の新設・増設は行わない」との原則が示されているところだが、上関原子力発電所の建設を引き続き進めたいとしている。

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枝野幸男経済産業相は、5日の閣議後記者会見で、上関原子力計画に関する質問に対し、エネルギー戦略に掲げる「原発の新増設を行わない原則」の適用対象であることを述べている。


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