枝野経産相が講演 最大限努力が真意 政府は誘導、民間が実施 30年代の原発ゼロ目標

枝野幸男経産相は15日、東京・内幸町の日本記者クラブで「脱近代化と負の再配分」と題して講演、質疑応答の中で、原子力政策についても語った。

記者から、脱原発や電力問題についてどう考えているか聞かれた同相は、「足元の電力供給では、原発の安全性、稼働の是非については規制委員会が判断するもので、政府は安全問題に一切口をださない。政府は安全が確立した原発であれば、(条件付きで)重要電源として活用すると、必要性についてはエネルギー・環境戦略で明確な方針を示している」と述べた。

中長期的な原発目標については、「あくまで政府が決めたのは、2030年代に原発ゼロが可能となるよう、あらゆる政策手段を投入するとした文章だ」とした上で、「これは政府が決めただけでは、実現できない問題だ。再生可能エネルギーや省エネルギーをいかに低コストで量的にも普及させ、安定的に使えるようになるかは、政治が判断すればできることではない。政治はそれらを最大限引き出す政策誘導や支援はできるが、技術開発やビジネスとして回していくのは、民間がやることだ」、「それらができたら、原発をできるだけ早くゼロにするということだ。経済界もメディアも正しく理解してほしい」と説明した。

さらに記者から、「40年廃炉原則などの政策が発表される一方、新エネなど技術進歩がなければ達成できないのなら、本当の目標とは理解できないのではないか」との質問に対して枝野経産相は、「新エネ開発や省エネについては、3.11以前からも言われてきたが、進んでこなかった。40年廃炉原則を掲げることで、新エネ開発などへの一種社会的プレッシャーとするという考えだ」と解説した。

リトアニアでの原子力発電所新設をめぐる国民投票を例に、日本での国民投票の実施についての考えを聞かれた同相は、「直接民主主義的な国民投票は重要だ。ただ、国民投票は二者択一の問題を決めることはできるが、原発問題のように、その間にいくつもの選択肢があり、百人百様の考え方がある場合には、たいへん難しい問題だ」との考えを示した。


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