東芝がWH社株買戻し 米ショー社から 新たな出資者を検討

東芝は今月6日に米国大手エンジニアリング会社ショー・グループから、同社の100%子会社であるニュークリア・エナジー・ホールディングスが保有するウェスチングハウス(WH)社の全出資持分(同社持株会社株式の20%)を東芝に売却することができる権利(プットオプション)の行使に関する通知を受領した、と10日発表した。

これは、ニュークリア・エナジー・ホールディングスとの契約によりプットオプションが自動行使されたことによるものであり、上記通知受領日の10日から90日後に、東芝は約1250億円で同社が保有するWH社の全出資持分を取得する。東芝では、今回の買い取りに必要な資金については、手元資金および借り入れを中心に賄う計画だ。

WH社は、米国および中国で8基の新型加圧水型原子炉「AP1000」の建設を進めるとともに、アメリカ、アジア、欧州・中近東の3主要地域の事業運営体制を確立し、世界各地での事業拡大に向けた体制基盤を固めるなど、東芝による子会社化後も順調に事業を拡大してきている。今後もグローバル市場での受注拡大を図っていく方針。

WH社の株式については、関心を寄せている企業もあり、東芝が今後も過半数を維持することを前提に、事業ビジョンや長期的な事業戦略の共有、同社とのシナジー等を総合的に判断・評価した上で、新たな出資パートナーを迎え入れることも検討中。これにより、WH社の事業強化に加え、今回の買い取りに伴う東芝自体の財務負担を軽減することも可能となる。

なお、ショー社とは、これまで米国および中国のプロジェクトにおいてAP1000の建設に関して協力関係にあり、すでに受注している米国および中国の案件については予定通り工事完成に向けていくことで合意しているという。

また、プットオプション行使後の、今後の案件の建設エンジニアリングについては、案件毎に最適なパートナーを選定することを基本方針としているとも付言している。

東芝がショー・グループからウェスチングハウス社の出資持分20%を購入することで、株式保有率は全体で87%に達し、他はカザフスタンの国営企業カザトムプロムが10%、IHIが3%の保有となる。

東芝は06年、英国原子燃料会社(BNFL)からWH社の全株式を54億ドルで取得した。そのうちショー社に株式の20%を所有してもらったが、同社は今年7月にシカゴ・ブリッジ&アイアン社と合併していた。


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