規制委、ストレステストは「参考」 新安全基準作り開始

原子力規制委員会は10月25日、シビアアクシデント対策に関する基準を含めた原子力発電所の新たな安全基準の策定に向け、有識者らによる具体的検討を開始した。改正原子炉等規制法に基づき、旧原子力安全委員会による安全設計審査指針類に替わり、法制化された「原子力規制委員会規則」として、7月までに施行するもの。

同日、初会合を開いた更田豊志委員をリーダーとする検討チームでは、福島第一発電所事故が、設計上の想定(設計基準)を上回る津波の来襲で起きたことを踏まえ、設計基準を超える事象に対応するための対策に係る基準にまで対象範囲を広げたものとして、規制委員会規則の中身となる「基準骨子案」を年明けまでに取りまとめることとしている。検討に際しては、自然現象だけでなく、意図的な航空機の衝突、テロリズム等も含めた考慮すべき外部事象を抽出した上で、それらに対する設計基準の考え方を整理し、さらに、設計基準を超える外部事象に対する頑健性など、シビアアクシデント対策の基本方針、安全評価も含め、記載すべき要件を取りまとめる。

検討チームの初回会合ではまず、考慮すべき外部事象を、自然現象と外部人為事象で、それぞれ抽出・整理し討議した。これら外部事象には、旧安全委員会の設計指針に記載されなかった火山影響、竜巻、生物学的影響、森林火災、有毒ガス、船舶の衝突、電磁的障害、意図的な航空機衝突などもあげられた。メンバーからは、「戦争は考慮しなくてよいのか」といった指摘があったのに対し、「航空機落下として分類できるものなど様々、ここでは『現象』を考えるべき」といった発言、また、自然現象に関しては、過去の史料の信頼性や、「台風は予報できる」として、時間的・距離的余裕も考慮し、外部事象に応じた設計を検討すべきといった意見もあった。

会議終了後、記者団の質問に更田委員は、考慮すべき外部事象にあげられた生物学的影響として、国内ではクラゲの大量発生による取水口トラブルを挙げた。また、旧安全規制体制で進められてきたストレステストに関しては、「今は規制上の判断には考えていない」とする田中委員長の考えを示す一方、「内容が技術的に役立たないということではない」とも述べ、評価結果を参考にする考えを示唆した。


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