廃炉だけでは維持困難 経産省文科省 人材確保・育成を懸念

経済産業省と文部科学省は10月30日の原子力委員会定例会議で、原子力人材の確保・育成に向けた取組に関する意見交換を行った。

経産省資源エネルギー庁は、原子力の安全を担う現場人材の雇用の維持は、民間だけでは対応は困難であることから、国として中長期的な対応が必要だと強調。研究・開発分野においては、魅力的かつ挑戦的な課題に立ち向かう研究開発プロジェクトがないと優秀な若手人材の確保は困難ではないかと懸念した。 今後の国内での新増設の見通しがつかないことを受け、設計・建設という国内外における「生きた仕事」がなければ、建設・保守の観点を反映した設計ノウハウの取得等、人材技術の維持は難しいとの見解を示した。また、海外建設があったとしても、国内の熟練技能者の維持、運転・保守に係る情報蓄積等、運転・保守に係る人材・技術の維持が問題となることを予測した。さらに、廃炉において求められる知見は、主に建築、土木工学等であり、原子力安全に関しては放射線防護・管理等の一部の知見であることから、廃炉だけでは原子力安全全般に係る必要な人材の確保は困難ではないかと指摘した。

文科省原子力課は、人材育成に係る今後の取組案として、1)福島原発事故対応に係る人材育成活動の強化、2)原子力安全等に係る人材育成活動の強化、3)幅広い原子力研究・教育の裾野の拡大が重要とし、産学官連携によるネットワーク化の推進・拡大に期待を寄せた。


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