学術会議の提言に有識者が意見 高レベル廃棄物

10月24日の原子力委員会では、高レベル放射性廃棄物処分に関する取組について有識者と意見交換を行った。

杤山修・原子力安全研究協会放射線・廃棄物安全研究所長は、1)地層処分を基本方針として計画を進める2)並行して、地層処分の選択の過程を社会と共有し、地層処分の選択はこれでよかったか再検証する3)政策変更に対応できる技術(直接処分)を整備する4)ステークホルダー参加の計画、制度化を検討する――ことを提案した。

高橋滋・一橋大学大学院教授は、1)政策の転換が必要なら、それを適切に表現するよう高レベル処分法の法改正2)処分済廃棄物処分についての「可逆性」と「回収可能性」を織り込んだ制度を明確化3)複数立地を前提とし、施設の処分量、形状を明確にした処分計画を策定4)国の責任をより前面に立てた立地選定手続、国有地への処分の原則を明確化――するべきとした。

伴英幸・原子力資料情報室共同代表は、1)新戦略の方向を確認するための討論の場を設置2)現行の最終処分のスケジュールを白紙にして、長期にわたる保管の必然性を含めて上記の議論を尽くすことを優先3)処分費用の積立に関して、後の世代が負担しなくてもよいように見直す4)処分技術は、新しい知見や技術に関して柔軟に検討――するべきだと主張した。

北村正晴・東北大学名誉教授は、1)「国民的討議」のスキームと政治的意思決定の融合を、より包括的に進める2)「科学的自律性」(研究が社会的文脈におかれる際には実現困難)の実現方策を明らかにする3)「安全」の捉え方について、国民の広い層における認識共有を進める――ことが欠かせない要件だとした。

続いて、資源エネルギー庁より最終処分の実現に向けた取組について、原子力発電環境整備機構より地層処分技術の信頼性について、説明があった。

原子力委員会は、9月に出された学術会議の高レベル放射性廃棄物や使用済み核燃料を暫定保管しながら、新技術などを開発すべきとの提言を受け、有識者の意見を聴取しており、11月2日に第2回目の意見聴取が行われる。


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