キウォーニ原発を来年閉鎖 米ドミニオン社が経済性判断

米国のドミニオン社は10月22日、ウィスコンシン州で操業しているキウォーニ原子力発電所(PWR、59万kW)を来年第2四半期に閉鎖し、廃止措置を取る方針を公表した。

理由は「純粋に経済性の問題」としており、ウィスコンシンを含む中西部12州の経済規模で原子力発電を増大させるのが難しいほか、同地域内の電力卸売価格が低下している時期に同発電所の電力販売契約が終わりに近づいたことが重なった結果だと説明。同発電所は昨年2月に米原子力規制委員会(NRC)から2033年まで20年間の運転認可更新を認められるなど安全性に何ら問題はなく、同社は「原子力は米国の今後のエネルギー供給において重要な役割を果たさねばならない」との見解を改めて表明している。

ドミニオン社にとって運転状況が良好な同発電所の閉鎖決定は苦渋の決断だった。同社は2005年に同発電所を購入したが、戦略的資産の特定および投下資本の収益率改善のために実施している総資産の定期審査の結果、昨年4月に同発電所の買い手を募集すると発表。しかし、その後買い手は見つからず、同発電所が発電電力を供給している電力会社2社との売電契約も13年12月に期限切れが迫ったことから、同発電所の運転継続は経済的ではないとの結論に到ったとしている。

閉鎖後の廃止措置経費について、同社は今年第3四半期の税引き後費用2億8100万ドルを認める方針。関連信託には現在、十分な資金が積み立てられており、期待利益を加えればすべての経費を賄うことが出来る見通しだとしている。

なお、ドミニオン社はサリー原発など、米国東部で保有するその他の原子炉6基については閉鎖の予定はない模様。三菱重工業製USAPWRの採用を念頭に建設を計画している東海岸バージニア州のノースアナ3号機については、「建設・運転一括認可(COL)が下りてから着工するか否か判断する」と述べていたことが伝えられている。

〈NEIの談話〉

米原子力エネルギー協会(NEI)のM.ファーテル理事長は同日、「キウォーニ発電所が予定通り来年閉鎖された場合、米国内での原子炉閉鎖は1998年にコネチカット州のミルストン1号機が閉鎖して以来のことになる」と指摘した。

同理事長によると、ドミニオン社の閉鎖決定は中西部の電力市場において経済的たり得る経済活動を達成し得ないため、追加の原子炉を確保しないという同社の特殊な状況に基づく。同原発が閉鎖されても、原子力が米国にとって信頼性やコスト効率の高い電源であることに変わりはないとの考えを強調した。


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