現実的なエネ政策推進 自民党 政策の違い国会で強調

臨時国会で野田佳彦首相の所信表明に対する代表質問が、10月31日、11月1日と衆院本会議で行われた(=写真)。

31日には自民党の安倍晋三総裁、元経産相の甘利明政調会長らが質問した。

安倍氏は「我々が安全神話の中に立って原子力政策を推進してきた責任を痛感するとともに、政治が強い指導力を発揮し、断固たる覚悟と責任を持って地域の皆様方の希望を取り戻さなければならない」と述べ、新たな生活への見通しがたたないまま、被災地の人々が二度目の冬を迎えることに、政府の対策の遅れを非難した。

一方、安倍氏は「自由民主党には成長戦略がある。地に足のついた、未来を見据えたエネルギー政策がある」と強調した。

甘利氏は「民主党政権の3年間、我が国は混迷をきわめた。はき違えた政治主導、受けねらいのポピュリズム政治、百害あって一利なしの事業仕分けなど、枚挙にいとまがない」と厳しく批判した。

原子力政策についても、「2030年代までに原発稼働ゼロを目指すといいながら、2050年代まで稼働する大間原発の工事再開を了承するなど、明らかな政策の矛盾ではないか」と指摘した。さらに「2030年代原発稼働ゼロを目指しながら再処理を続けるとなると、利用する当てのないプルトニウムをつくり続けることになる」とし、米国をはじめ国際社会が懸念しているのは、「利用する当てのないプルトニウムをつくり続けるという我が国の政策を認めてしまうと、米国によるイランに対する圧力を減殺してしまうのではないか」との危惧だと述べた。

また甘利氏は、原発停止によって我が国が貿易赤字に陥り、「石油や天然ガスの輸入が大幅に増え、年ベースで3兆1000億もの国富が流出した」と指摘した。

その上で甘利氏は自民党の原子力政策について、「我々は、原発依存比率を下げることにトライしていく。ただ、民主党のように、受けを狙って、2030年代までに原発稼働ゼロと、拙速に思いつきの目標を掲げることや、その間の、シナリオをつくらないというのではない」と違いを強調した。

具体的には、当面の最優先課題として、「再生可能エネルギーの最大限の導入、省エネの最大限の推進を図るため、今後3年間を集中開発期間として、徹底的に取り組んでいく」との方針を示した。さらに中長期的エネルギー政策については、「将来の国民生活に責任の持てるエネルギー戦略の確立に向け、10年以内には、将来にわたって持続可能な電源構成のベストミックスを確立する」とし、「我々は、民主党政権のような無責任なトライではなく、現実的でかつ責任を持ったトライをしていく」と強調した。

これら自民党の主張、質問に対して野田佳彦首相は、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入するということは、政府として決めた、ぶれない基本的な方針だ」と述べ、「9月19日には、今後の政策の具体化のプロセスを含め、こうした方針を政府として閣議決定した」と説明した。

2030年代に原発稼働ゼロを可能とすることについて首相は、「グリーン・エネルギー拡大などの政策資源投入についての目標だ。まずは、これを実現するために全力を挙げるということだ」と説明し、その上で、「そうした目標の実現が可能になったときに、あるいは、可能になりそうだということがかなり確実性を持って見通されたときに、そこから先のことについて具体的な議論ができるものと理解している」と述べた。

今後のエネルギー基本計画についても、「総合資源エネルギー調査会において、今後の進め方も含め議論していく」とした。

また首相は、プルトニウム利用を含めた核燃料サイクルについても、「革新的エネルギー・環境戦略においても、従来の方針に従うこととしている」と明言した。


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