1月 国民投票を実施 ブルガリア 原子炉新設の是非で

10月31日付けのブルガリア国営通信(BTA)によると、同国のR.プレブネリエフ大統領は「新しい原子力発電所の建設を通じて我が国で原子力発電を開発すべきか?」という設問について来年1月27日に国民投票を実施すると明言した。

10月24日に議会で行われた票決の結果を受けたものだが、この国民投票は元々、今年3月に現政権が打ち切ったベレネ原子力発電所建設計画の復活を求めて、野党らが実施に向けた署名を収集。同国ではその後、北部のベレネに100万kW級ロシア型PWRを2基建設する代替案として、既存のコズロドイ原子力発電所に1基原子炉を増設する案も浮上していた。

しかし、当初考えられていた設問の文案から「ベレネでの原子炉建設」という文言が抜けたことにより、ベレネ計画のみならず、コズロドイ増設分に関する資金調達問題を含めたすべてが影響を受ける可能性があるとし、産業界からは懸念の声もあがっている。また、国民投票が成立するには、投票率が60%を上回る必要があり、成立は難しいとの見方もある。

〈設問文の修正で紛糾〉

現地のメディアはこの問題について連日取り上げている。

それによると、3月に政権与党の「欧州発展のためのブルガリア市民(GERB)」が「経済的に実行不可能」としてベレネ計画を打ち切った後、同計画を支持する最大野党・ブルガリア社会党(BSP)がベレネ計画の是非を問う国民投票実施のための請願活動に乗り出した。

議会での票決に必要な署名数が集まったものの、国民投票組織委ではGERBが設問の中に「ベレネで」という文言を入れた場合、国民投票が違憲になると主張。BSPは「ベレネ計画打ち切りに対する責任追求から逃れるため与党は国民投票の混乱を狙っている」と非難したが、最終的に修正版設問文による国民投票の実施について議員票決が行われた。結果的に圧倒的賛成多数で投票の実施が決まったが、修正版に反発したBSPを含む2野党が投票を棄権するなど、議会ではこの問題について3時間もの白熱した議論が展開。この模様は国営テレビとラジオで実況中継されている。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで