洪水対策の改善を指示 米規制委 ドレスデン原発で

米原子力規制委員会(NRC)は1日、イリノイ州で稼働するドレスデン原子力発電所(BWR2基、各91.2万kW)における洪水対応計画について、同委の懸念事項に鋭意取り組むよう所有者のエクセロン社に書簡で指示した。福島事故後に行われた短期タスクフォース審査への対応の一環として、最悪の洪水に際しても冷却ポンプを作動させ、洪水の瓦礫から機器を守るため、30日以内に取り組み方針を示すよう求めている。

ドレスデン原発の2基は福島と同じマークT型の格納容器を保有。福島事故に伴い、NRCが同原発で最近実施した検査では複数の懸念分野が特定されたが、その中で問題となったのが、最も過酷な気象学的と水理学的条件が組み合わさった際に想定される最大レベルの洪水、「最大推定洪水」だ。

こうした条件がこの地域で発生したことは一度もなく、これからもほとんど起こり得ないと考えられるため、NRCは同原発での洪水対応計画が緊急を要する安全問題とは捉えていない。このため、ドレスデンの対応計画は同原発が福島事故に則した安全基準を満たしていることをNRCが保証するため、追加で情報提供する分野という位置付けになる。

ドレスデン発電所では1966年、「基準海面から506.4フィート(約154m)以上」という対洪水基準値で最初の運転認可を得た。同発電所の原子炉およびその他の構造物は実際、基準海面から517フィート(約157m)の高さに建設されており、これはこれまでの歴史上で最大の洪水レベルよりも10フィート(約3m)上である。

当時はこれで設計基準の範囲内だったが、NRCは1982年に同地域の一層厳しい仮想洪水値に基づき同原発の洪水の設計基準を528フィート(約160m)に変更した。同原発では設置地点と改訂基準の差である11フィート(約3.3m)を考慮した対応計画を策定していたが、その後の福島事故に伴いNRCは極端な自然災害に対する防護対策の促進を決定。ドレスデンでの洪水対応計画は国内原発では初めて、NRCの対策アクションの焦点が当たることになった。

同発電所の洪水対応計画において、NRCは(1)手順書の品質と実行可能性(2)同計画で特定された対応機器の利用可能性と性能――の2分野に懸念を表明。このため、エクセロン社には書簡の受理後30日以内に、以下のやり方で対応を示すよう指示している。すなわち、(1)NRCの具体的な懸念項目リストに取り組む(2)想定された最大の洪水に対して既存の手順や戦略が有効であることを実証するか、解決のための代替策を提案する(3)NRCの懸念事項に取り組む行動計画の実施日程を提示する――だ。

エクセロン社から回答が得られ次第、NRCではこの問題について一般市民が議論するための場として公聴会を開催する予定である。


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