実施取り決め交渉完了 印加の原子力協定

カナダのS.ハーパー首相は6日、2010年6月にインドと調印した原子力協力協定(NCA)の実施取り決め(AA)に関する交渉が完了したと発表した。これにより数百万カナダドル規模と言われる両国間の原子力貿易や投資が実行に移されることになった。

カナダは1960年代にインドへ供給した重水減速研究炉の使用済み燃料が核実験に利用されたことから同国への原子力援助を停止していたが、NCAでは国際原子力機関(IAEA)の保障措置下にあるインドの施設に対してのみカナダ産の規制核物質や機器および技術の輸出が許されるとして、平和利用が担保されている点を強調している。

今回の発表はハーパー首相のインド公式訪問中に行われており、同首相は声明の中で「カナダは核不拡散政策に基づく条件で原子力協力の相手国を選別しており、核不拡散要件を遵守する国にのみ原子力品目が輸出されるよう厳しく制限。NCAとAAはそうした原子力協力の枠組となるものだ」と言明した。今後は、カナダ原子力安全委員会(CNSC)とインド原子力省(DAE)がAAに正式調印した後、両国政府がNCAを時宜に即して発効させる手続きを取るとしている。

また、NCAによりカナダの原子力産業企業が急成長の見込まれるインドの原子力市場に参入することが可能になり、研究開発や商業契約で共同事業体を設立する道が開けたと説明。カナダの原子力関係生産物は年間50億カナダドルの収益を生み出しているほか、2万1000人分の直接雇用を支えていると指摘した。

なお、CNSCも同日、コメントを発表。AAに従って両国が共同委員会を設置し、関連する様々な分野で協議や情報共有を行う考えを明らかにした。原子力安全や研究開発、次世代原子力施設などの分野で両国が専門的知見を共有する一方、インドに輸出する核物質や機器および技術の平和利用を確証するため、適切な監督体制を取ることになるとしている。


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