発災時の具体的対応を 原子力規制委 緊急被ばく医療検討開始

原子力規制委員会は15日、緊急被ばく医療のあり方に関する検討を開始した。同委がこのほど策定した原子力災害対策指針を受け、医療協力体制、発災時におけるスクリーニング実施、安定ヨウ素剤の服用などについて、有識者の意見を聴取し必要事項を取りまとめるもの。

同指針が掲げた今後の検討事項のうち、緊急被ばく医療以外の項目については、別途、有識者チームを立ち上げ検討を行うが、いずれも年内を目途に、指針に反映させるべき内容を取りまとめる運びだ。

初回会合では、指針中の緊急被ばく医療関連の記述を踏まえ、検討課題について整理した。医療協力体制に関しては、多数の傷病者への迅速な対応を可能とするよう、災害医療や広域医療機関との連携・指揮系統、医療設備、資機材、教育・訓練、情報の取り扱いなどを掲げ、救急医療の流れを図示して、意見を求めた。

これに対し、福島原子力災害での対応経験を振り返り、放射線医学総合研究所の明石真言理事は、病院や医療スタッフも避難対象となりうることなどから、事故を想定した現実的な防災体制整備を求めた。

また、スクリーニング実施については、内部被ばく、皮膚被ばくの低減を、安定ヨウ素剤の予防服用については、甲状腺被ばく低減と住民不安解消に向けた枠組み作りをそれぞれ目的とし、検討すべき具体策を掲げているが、有識者からは、住民に「このレベルなら大丈夫」と信頼される基準を示すよう議論を促す発言もあり、担当委員の中村佳代子氏は、「何の目的でスクリーニングを行うのか、データをもってどういう行動をとるのか」などと述べ、受け止める側に立ち、総合的な議論がなされるよう期待した。


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