EDFの計画にサイト許可 英国の原子力新設計画大きく進展

英国原子力規制庁(ONR)は26日、EDFエナジー社がサマーセット州で進めているヒンクリーポイントC原子力発電所建設計画に対してサイト許可(NSL)を与えた。原子炉建設サイトへの許可としては25年ぶりで、同国における原子力新設計画は最初の2基の建設に向けて大きく前進。安全性に関わる部分の実質的な着工までには、NSLに基づくONRのさらなる承認、および環境庁と担当大臣からも環境認可と同意が必要だが、同サイトに建設予定の仏アレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)は包括的設計審査の最終段階に入っており、設計上の課題解決で追加情報が提出されれば、年内にも規制当局が最終承認を与える見通しとなっている。

実際のNSLは、EDF社が英国のセントリカ社との合弁で原子炉新設用に起ち上げたNNBジェネレーション社に与えられたもので、ONRのM.ウェイトマン長官はサイトの適性のほかに、同社の組織体制や安全評価書の準備能力、NSLに付随する条件への対応力などの審査に3年以上の年月を費やしたと説明。同社は今後、英国の規制要件に合わせたEPRを既存のヒンクリーポイントB原子力発電所の隣接区域に2基建設するため、原子炉の建設から運転に到る炉寿命全般で安全性を確保する適切なメンテナンスなど、36の条件を遵守していくことになる。

また、建設計画全体に対する政府の同意も必要だ。都市計画案の審査を担当する計画審査庁は今年9月、半年間にわたったEDF社の建設運転申請の審査を終了し、12月21日までに、同計画の推進をエネルギー気候変動(DECC)大臣に勧告することになった。EDF社も9月に、周辺環境への影響緩和支援として地元サマーセット州の関係自治体に約1億ポンド(約130億円)提供することで合意。これは主に地元の教育振興や道路交通整備などに活用されるとしている。

こうした状況から、今回のNSL発給はEDF社にとっても、同計画に投資する最終決定を下す準備が整ったことになる。同社はすでに2011年、圧力容器鍛造契約をアレバ社と締結したほか、今年2月にサイトの掘削や道路などインフラ整備で英国の土木建築企業と1億ポンドの作業契約を締結。約20億ポンドに相当するメインの土木建築工事についても、6月に仏英の合弁建築業者を早期請負企業の有力候補として選定済みである。


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