洪水リスク再評価を助言 米規制委が福島後の対応で

米原子力規制委員会(NRC)は原子力発電施設の建設や運転など各種の認可を受けた事業者や申請者に対し、洪水リスクを再評価するよう助言する「暫定スタッフ・ガイダンス(ISG)」の最終版を7日付けの連邦官報に掲載した。福島事故を受けた対応の1つで、3月に事業者宛ての「報告要求文書」に記した勧告に従い、サイト毎に外部からの洪水による包括的なリスク分析の更新を促す内容だが、その使用については事業者の自発的意志に委ねられている。

福島事故後、NRCの「短期タスクフォース(NTTF)」は現行の規制と手順の中で改善が必要と思われる部分を特定するため、系統的かつ組織的な審査を実施。2011年7月に包括的な勧告文書一式をとりまとめた。その後、NRCスタッフが同文書に改善を加え、それらの勧告項目を速やかに実行に移すための優先行動に関する報告書を同年9月と10月に策定。NRC委員および議会によるこれらの承認と指示を経て、NRCは勧告行動の1つとされていた事業者への報告要求文書を今年3月12日付けで発行していた。

それによると、NRCは発電所サイト毎に最新の洪水リスク情報と規制上の方法論を用いて外部からの洪水の危険性を再評価するよう要求。これと同時に、サイト毎の潜在的な洪水メカニズムで再評価した設計ベースでの危険性を比較するよう事業者に求めている。

仮に、あるサイトで再評価した危険性が既存のの設計ベースで抑制できない場合、事業者は包括的な評価の実施を要求される。ここでは、物理的バリアや暫定的な防護策および運転手順といった複数の多様な能力を考慮に入れて、洪水の危険性に対する発電所全体の対応を評価。事業者によるこうした対応の審査を通じて、NRCでは洪水に対して追加の防護策を取る規制活動が必要か否かを判断することになる。

こうした内容のISG案文は今年9月から11月にかけて複数の公聴会にかけられており、NRCは7分野では得られたコメント約60件について議論。今回の最終版を公表したとしている。


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