アジア協力の意義を再確認 FNCA日本コーディネイター 町 末男

白内閣府副大臣「革新的エネルギー・環境戦略」を紹介

11月24日ジャカルタで、インドネシアのハッタ研究技術大臣と日本の白内閣府副大臣を共同議長として13回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級会合が開かれた。

バングラデシュ、マレーシアから科学技術担当大臣、フィリッピンは副大臣、中国は陳国家原子能機構主任(大臣級)が11人の大デリゲイションを率いてが出席、他は原子力行政機関長などを代表として12か国の全てが参加した。会議のハイライトを紹介する。

白副大臣は開会の挨拶の中で、9月、日本の「エネルギー・環境会議」が国際的エネルギー情勢などを慎重に見極めながら、不断に検証、見直しを行いつつ2030年代に原発に依存しない社会を目指し、グリーンエネルギーを拡大するが、その過程では、安全性の確認された原発は重要電源として活用するなどの政策を決めたことを報告した。さらに、原発事故の経験と教訓を世界と共有し、世界の原子力安全の向上に貢献することが日本の責務であることを強調した。

〈「原子力人材育成に向けた協力の重要性」〉

FNCA参加国の中では、既にバングラデシュとベトナムが原発の導入を決めており、マレーシア、インドネシア、タイ、カザフスタンなどが導入可能性を検討中である。これらの計画を進める上で、最も重要で不可欠な基盤となるのが「必要な人材の育成・確保」であることから、ANTEP(アジア原子力訓練・教育プログラム)などの国際協力の枠組みを活用して協力を強めることが合意された。

「福島第一原子力発電所事故後国民との対話の重要性一層高まる」

福島事故後でもベトナムの原発導入の計画は不変であり、バングラデシュも原発の導入を決めている。何れも増え続ける需要に向けて安定して電力を供給するためである。両国は福島事故の教訓を踏まえ、最高レベルの安全の確保を目指して計画を進めている。

一方、福島事故は国民に原子力の安全性への不安を与えていることから、事故の教訓、安全の確保の方法などについて、国民とより緊密な対話が必要であり、そのためのFNCAでの協力が提案された。

放射線利用実用化の促進に向けての「ネットワーク構築」

今回注目された議論の1つは品種改良、がん治療、作物成長促進剤など、FNCA放射線利用プロジェクトで上がっている目に見える成果を社会・経済的効果に結びつけるために、各国で技術を利用するセクターと原子力機関との間でネットワークを構築することがマレーシアのオンキリ大臣から提案され、決議案に採択されたことである。放射線利用技術のユーザーは農業、医療、工業など原子力セクターの外にあることから、ネットワーク構築によってFNCA成果の実用化の促進が大いに期待される。また、この観点から各国での放射線利用の経済効果を定量的に評価することが提案され、評価法については日本、韓国、豪州の経験を活用することで合意した。

「FNCAの役割と意義の見直し」

12年のFNCA活動を振り返り、今後FNCAに期待する役割について議論する円卓討議では、各国は大臣級会合が主導するFNCAの活動は参加国共通の優先課題に取り組んでおり、その成果は高く評価できるとの認識で一致した。今後は各国一層の協力で効果的な活動を促進・継続することが決められた。


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