第2次安倍内閣が発足 現実重視の政策めざす 経産相「原発稼働ゼロ」は再考

総選挙での自民党大勝を受け、特別国会が12月26日召集され、衆参両院本会議の首相指名選挙を経て、同党の安倍晋三総裁が第96代の首相に選出された。首相経験者の返り咲きは戦後、吉田茂・元首相以来64年ぶり2人目で、同日、6年ぶりとなる「危機突破内閣」と銘打つ第2次安倍内閣が発足した。経産相には茂木敏充・元金融相が就任し、今後の原子力政策について、前民主党政権の政策を見直していく方針を明確に打ち出した。復興相には根本匠衆院議員を当て、福島の除染や生活再建などの諸課題も一元的に実行するため「福島原発事故再生総括担当」とした。経済財政諮問会議(甘利明担当相・元経産相)を再開させ、国家戦略会議等は廃止した。

安倍新首相は12月26日、首相官邸で就任会見を行った(=写真)。

まだ自民党に対して完全に信頼が戻ってきているわけではなく、政治全般に対する国民の厳しい目が続く中での内閣発足であり、「危機突破内閣」として1日も早く結果を出していくことで信頼を重ねていきたいとした。

全ての閣僚に対して、経済再生、復興、危機管理の3つに全力で取り組むように指示したと報告した。

震災被災地に関しては、いまだ32万人が避難生活または困難な生活を強いられたまま二度目の寒い冬を迎えていることに触れ、復興の加速化が何よりも重要であるとの認識を示した。特に福島については、関係省庁の力を結集して国が前面に立って再生に取り組み、創造と可能性の地としての新しい東北をつくり上げるとした。

経済政策では、強い経済の再生をめざして内閣の総力を挙げ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の3つで経済政策を力強く進めて結果を出すとの決意を語った。

外交面では、国益を守る、主張する外交を取り戻し、特に日米同盟の信頼関係の再構築が重要だとした。

原子力発電に関する質問に対しては、自由民主党の基本的な姿勢と公明党との公約をふまえた上で、国内でのものづくり空洞化の危険性などを例に挙げながら、経済の競争力を考慮しつつ当面の電力需要への対応を喫緊の課題として挙げた。その中で、まずは半年間のうちに原子力規制委員会で安全第一の精神のもとに厳しいルールをつくっていき、そして3年間で稼働すべきかどうかという判断を進めていくと同時に、再生可能エネルギーなどの開発を進めていき、10年間でベストミックスを考えていくと説明した。

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安倍首相は4日、伊勢神宮の参拝後、記者会見し、新規原子力発電所について、低廉かつ安定的な電力供給の重要性を指摘しつつ、(1)世界の化石燃料の供給リスク(2)原発事故の検証と安全技術の進歩の動向――を見据えながら、「ある程度の期間をかけて腰を据えて検討していきたい」と述べた。

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安倍晋三(あべ・しんぞう)氏 1954年9月、東京都生まれ。本籍地は山口県大津郡油谷町(現・長門市)。77年3月、成蹊大学法学部政治学科卒業、同年4月米国留学、78年4月南カリフォルニア大学入学、政治学専攻、79年中退。79年4月、神戸製鋼所入社、82年11月同社退社、安倍晋太郎外相(当時)秘書官。

93年7月、衆議院議員初当選(旧・山口1区)。2000年7月、第2次森内閣で内閣官房副長官、01年4月引き続き第1次小泉内閣でも内閣官房副長官。

03年9月、自民党幹事長。04年9月、同党幹事長代理、党改革推進本部長に就任。05年10月に第3次小泉改造内閣で内閣官房長官。06年9月、同党総裁、第90代内閣総理大臣に就任。07年9月内閣総理大臣を辞職。12年9月、自民党総裁に再度選出。


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