事故調フォロー会議 各省報告 福島県 「被災者目線で」

福島原子力発電所事故の国会および政府事故調査委員会でなされた提言のフォローアップを行う有識者会議(座長=北澤宏一・科学技術振興機構前理事長)の第2回会合が12月25日、東京の三田共用会議所で開かれ、前回に引き続き関係各省からの取組み状況のヒアリングを行った。

内閣府からは避難指示区域の見直しに関する基本的考え方を説明し、その後の警戒区域の範囲は12年12月12日時点で浪江町の東側約半分、双葉町・富岡町の全域と、沿岸約5キロメートルにまで狭まったことを報告した。

復興庁は現在、福島復興再生特別措置法に基づき、「避難解除等区域復興再生計画」の素案を作成中で、今年度中の策定をめざしていることを説明した。対象の避難解除等区域での復興再生計画の期間、産業の復興および再生に関する事項、道路、港湾、海岸その他の公共施設の整備に関する事項、生活環境の整備事項などを定める。

経済産業省は損害賠償について、政府の賠償基準の考え方に基づき、東京電力が賠償基準を公表して精神的損害、就労不能損害などの包括請求方式を導入し支払いを実施。家財・財物の賠償については関係自治体等と調整中だとし、帰宅または移転を希望する被害者に対して賠償に差を設けない枠組みとし、それぞれの選択に資する賠償を進めていくとした。

環境省は、長期にわたる健康管理、特に子供・新生児や妊婦に対するきめ細かな措置を実施していることを説明。国が直接除染を行う「除染特別地域」では、12年〜13年の除染結果について点検・評価し、対応方策を検討することにしている。いままでの除染の効果について同省は、「相当程度の空間線量率を下げることができるが、現在の除染技術には限界もある」と評価しており、引き続き、技術実証事業などにより新技術を開発していくとしている。

原子力規制庁からは、現行規制体制や新安全基準の策定計画などを説明し、原子炉等規制法への一元化をめざして、1月には基準骨子案を取りまとめたあとパブリックコメントに付し、4月には条文案の提示、7月の同法改訂を目指していることを報告した。森本英香次長は国際機関や外国規制当局との積極的な交流を行う方針を説明した中で、「日本は(規制レベルが)遅れており、キャッチ・アップに努力する」と述べた。

今回、堀内雅雄福島県副知事も出席し、同県の現状を説明。福島県の現在の関心事は(1)事故収束――現場目線での対応を(2)除染――今後森林除染などが課題(3)健康管理――年間1〜20mSvという基準について腑に落ちる議論を――などを指摘した。


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