運転継続に肯定的見解 仏安全当局がフェッセンハイムで

仏原子力安全規制当局(ASN)は12月20日、閉鎖問題で揺れるフェッセンハイム原子力発電所について、「事業者の仏電力(EDF)が規制要件遵守のために1号機で進めている対策には満足している」との見解を示した。同日現在で、2012年末が期限となっている残留熱除去系の改良など、運転継続のための要件が満たされる見通しだとして、その安全性にお墨付きを与えた形だが、同国では昨年5月に大統領に就任したF.オランド氏が、仏国最古の同発電所を選挙公約どおり2016年末に閉鎖する方針を昨年9月に改めて表明。閉鎖に伴う電力供給保証や雇用の維持などの問題を含めて、どこまで規制当局の判断を考慮するか注目されている。

ASNの声明は、昨年7月18日と12月11日に同発電所で行った点検結果を踏まえて発表されたもの。1977年に運開した1号機でASNは、09年10月から10年3月にかけて三度目の「10年に一度の大規模な審査」を実施。11年7月には条件付きで10年間の運転期間延長を許可していた。

これらの条件のうち最初の重要要件は、緊急時用残留熱除去設備の追加設置で、ASNは12年内という期限に向けた進行状況に満足する一方、ハードウェアに加えて、システムの使用説明書すべてを揃える努力が必要だと指摘した。

2点目は炉心溶融物に対するコンクリート製ベースマットの耐久性強化で、ASNは13年6月末までに実施するよう指示。EDFの提出文書を審査した限りでは、作業スタッフの放射線防護と特定の安全目標達成の双方を保証するという追加条件を満たすための改造が提案されているとして、ASNは12月18日に承認を与えている。この改造の目的は過酷事故時に利用される炉心溶融物拡散ゾーンの厚み増強と表面強化で、ASNでは審査に際し仏放射線防護原子力安全研究所(IRSN)の分析結果も参考にしたとしている。


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