資源輸出国で集中講義 (2)インドネシア 国際原子力人材育成大学連合

前号に引き続き、日本の文科省の補助事業(大学連合ATOM)として、原子力新規導入計画国における人材育成支援のため、平成22年から開催されている日本の原子力関係15大学による特別集中講義について紹介する。

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インドネシアでは、首都ジャカルタから150km程離れた高原都市バンドンにあるバンドン工科大学において、平成24年10月15日から5日間の講義が行われた。

受講生は80名に達し、バンドン工科大学以外にもパジャジャラン大学など計8大学の他、原子力庁、原子力規制庁他民間企業からの若手も出席し、このうち約3分の1が女性であった。

初日の講義に先立ちバンドン工科大学の副学長から挨拶があり、「インドネシアの天然資源は少なくなっている。代替燃料を探しているが原子力がベストな選択と思う。福島原子力発電所事故の影響で大衆の心理状態が改善しないと進まない」と話した。

その後、幹事校の東京工業大学を中心として京都大学を併せ7人の教授陣によりモンゴルと同様に講義がなされた。講義中の質疑応答の他、各講義後に出された設問に対し受講者が6グループに分かれて討議をし、グループの代表者がその結果を発表した。

受講生は終始熱心で、国が原子力発電導入の準備を粛々と進めていて、人材育成も含めた諸活動に変化はなく、若手の技術者の士気が維持されている。講義後のアンケートでも講義内容への理解度の高さを示すコメントが多かった。

講義最終日、受講生からの今回の講義の印象等の発表が行われたが、今後、「初級、中級、上級のクラス別編成を望む。第4世代原子炉、高速炉、受動安全を講義に含めて欲しい。健康への放射線影響の講義も欲しい。シミュレーションやモデリング、耐震設計などもやって欲しい。ジョグジャカルタでもやって欲しい。毎年の講義開催を望む」等々の要望が寄せられた。

以上のように、訪れたどの国も、近年の経済成長が著しく、自国に豊かな資源も持ちながらも、増大するエネルギー需要を賄うため原子力の必要性を感じ、このための人材育成に力を入れている。日本の原子力技術に対する期待は非常に大きく、より長期かつ内容を拡大して教育をお願いしたいとの希望がどの国からも聞かれた。

なお、本事業の最終年度である本年度の最後は1月からフィリピンで同様な講義が予定されている。(終わり)


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