放射性物質研究850億円 2012年度補正予算案 分析・研究施設などに

政府は15日の臨時閣議で総額13兆円規模の12年度補正予算案を決定した。11日決定の「緊急経済対策」の柱となるもの。

本紙関連では、経済産業省施策で、放射性物資研究拠点施設等整備事業に850億円の計上、福島第一発電所事故で発生した放射性物質を分析・研究する施設や、過酷環境化の災害現場で活動する遠隔操作機器を開発・実証する施設を整備する。

文科省では、ITER計画の実施で166億円、重粒子線がん治療技術の高度化および施設等整備で27億円などがある。

また、12月末の新政権発足に伴う、13年度概算要求の見直しも各府省から出されている。経産省では、緊急経済対策を踏まえ、昨夏の概算要求を精査し、例えば、原子力発電の広聴・広報事業では、内数として、「立地地域経済支援広報事業」を新規に立ち上げ、原子力発電所停止に伴う地域経済への悪影響に鑑み、各地域のニーズをとらえ、集客等を通じ、雇用・経済活性化をねらう。

環境省では、警戒区域内でのイノシシなどによる農地被害対策として、鳥獣捕獲等緊急対策事業に3000万円を新規に計上している。

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なお、原子力委員会は12月18日、2013年度の原子力関係経費見積りについて、関係府省からの聴取をふまえ、概算要求を行っている各施策が「基本方針」に示した関係府省が取り組むべき重要課題に適切に対応しており適切であると評価している。

原子力委員会は、基本方針で(1)福島第一原子力発電所周辺地域における取組(2)福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた中長期的取組(3)新しい原子力発電の位置付けに対応するための取組(4)将来に向けた研究開発・人材の確保への対応(5)国際社会における責任ある行動の推進――を重要課題として挙げている。

2013年度の概算要求額は約3556億8900万円で(対前年度比6.3%減)、うち一般会計が約529億2300万円(同47.6%減)、エネルギー対策特別会計電源開発促進勘定が約2792億6900万円(同7.0%増)、復興特別会計が約234億9800万円(同33.4%増)となっている。

原子力利用における安全の確保に関する事項では原子力規制委員会へ意見を求めたところ、特段の意見はないと12月20日に答申があった。これを受け25日、2013年度原子力関係経費見積りについて原子力委員会決定としたものの、新政権の誕生で一部見直しも予想される。


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