長期的視点でエネ政策を 原子力関係者OBら 新政権に提言

原子力関係者OBなどで構成するエネルギー問題に発言する会(金氏顯代表幹事)、エネルギー戦略研究会(金子熊夫会長)、日本原子力学会シニアネットワーク(齋藤伸三会長=SNW)は8日、有志139名の連名で新政権への「提言と要望」を取りまとめ、安倍晋三首相あてに提出した。

それによると、原子力に携わってきた者として、福島第一原子力発電所の過酷事故を防ぐことができなかった「深い反省の下」に、「原子力の更なる安全確保のため、全身全霊を傾注して取り組んでいくことの必要性をあらためて痛感している」とした上で、エネルギー問題、なかんずく原子力の活用は国家存立に係る極めて重要な課題だと指摘、政府として「長期的視点に立って、真に国家、国民のためになる政策を立案し、その実現に向けて全力を傾注されることを切にねがう」としている。

「提言と要望」では、(1)エネルギー政策を再検討し、実効性ある基本政策の早期立案推進を(2)原子力発電設備の安全性の確認を適切かつ速やかに行って早急に再稼働すべき(3)エネルギー政策推進、規制、福島復興には実力ある組織と合理的運営が必要(4)エネルギー/原子力/放射線に正しい知識を持つ教育と原子力人材育成に注力が必要(5)原子力分野での国際貢献――を掲げている。

特に、今後の経済成長を達成するためにも、「福島原発事故の教訓を反映させ安全性を高めた原子力発電をあらためて重要な基幹電源と位置づける」ことを要請し、既設炉の活用や、必要に応じた新増設の推進、核燃料サイクル政策の継続などを要望している。また、高レベル放射性廃棄物の処分加速には、国会に特別委員会を設置し、政治主導で、官民一体で取り組んでいく体制を作ることが必要と訴えている。

原子力プラント輸出も我が国の重要な役割の一つと主張し、11年3月11日以後、中断されたままのインドとの原子力協力協定締結交渉についても、日印友好・戦略関係の重要性に鑑み、早期妥結の方向で首相が指導力を発揮されるよう強く希望するとしている。


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